経済ジャーナリスト・荻原博子さん(写真:本誌写真部) 画像を見る

ひとりで暮らす単身世帯が初めて4割を超えました。日本に暮らす約5千700万世帯のうち、約2千400万世帯が単身です。

 

なかでも65歳以上の高齢単身世帯が増えて、単身世帯の34.4%を占めます。また、女性に限ると単身世帯の44.7%が高齢者です(2026年9月、総務省)。

 

親がひとり暮らしを楽しんでいても、年々不安になるのは介護です。本格的な介護はまだ必要なくても、掃除や料理がおっくうになるなど困りごとは増えていくもの。子ども世帯が親と離れて暮らす“遠距離介護予備軍”は特に、介護の準備は親がひとり暮らしに支障がない元気なうちに始めましょう。

 

まずは地域包括支援センター(包括)の利用です。高齢者本人はもちろん、家族からの相談も無料です。腰が痛い、歩くのがつらいなど不調がある場合は介護申請を。

 

要介護や要支援と認定されれば、要介護度に応じた介護保険サービスが受けられます。当初は家に他人が入ることに難色を示す高齢者も、家事の負担軽減を実感し、ヘルパーの訪問が楽しみになる人が多いです。また、定期的に訪問するヘルパーは小さな異変に気づきやすく、見守りの役割も。

 

 

介護申請で介護や支援の必要なしとなった場合も、包括の担当者と顔見知りになれたらOK。その後状況が変わったとき、スムーズに介護申請できるでしょう。

 

■社会福祉協議会に頼めば預貯金の出し入れも可能

 

認知症が進んだ後の介護申請には余裕がありません。高齢者は経験のないことを嫌う傾向があるので、少しずつ慣れる時間的なゆとりが早め準備のメリットです。

 

もうひとつのメリットは介護費用です。早め準備の段階だと、病院で医療費を払うのと同様に、介護費用も自分で払うでしょう。「介護費用は親自身のお金でまかなう」という鉄則を当然と受け止め、誰が負担するかときょうだい間でもめることもないと思います。

 

なかには、健康状態に問題はなくてもATMなどの操作や金銭管理が難しい高齢者もいます。慶應義塾大学の調査では、要支援1~2と要介護1という介護度が低めの高齢者の約3割が、預貯金の出し入れが「自分でできない」といいます。要介護1に限ると、できない人は6割を超えます(2026年4月)。

 

そんな場合は社会福祉協議会にご相談を。公共料金等の支払いや預貯金の出し入れ、通帳の預かりなどを依頼できます。利用料は所得や地域によりますが、訪問サポートが1回平均1千200円です。

 

こうした公的サービスを最大限活用して、介護離職を避けてください。最大93日間取得できる「介護休業」を利用して、親を見守る介護体制を作ったら、あとはプロに任せましょう。子ども世代はプロからの連絡を受けて判断するキーパーソンに徹するのです。

 

施設で暮らす私の母はもうすぐ100歳。私は毎晩テレビ電話をかけ、一緒に童謡などを歌っています。離れて暮らしていてもできる介護はあると思っています。

 

【PROFILE】

おぎわらひろこ

家計に優しく寄り添う経済ジャーナリスト。著書に『65歳からは、お金の心配をやめなさい』(PHP新書)、鎌田實氏との共著『お金が貯まる健康習慣』(主婦の友社)など多数

 

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