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(写真・琉球新報社)

「ドレミを続けて出してみよう」「勢いよく息を吹きかけて」。北谷町美浜にあるNPO法人エンカレッジ北谷教室で月2回の夕方、プロの演奏家の指導を受けながら、真剣な表情で金管楽器の練習に励む小中学生の姿がある。琉球交響楽団(琉響)が7月から北谷教室に団員を派遣し、トランペットやトロンボーンなど金管楽器の演奏法を教えるワークショップを開いている。受講は無料。子どもたちに音楽を奏でる喜びを伝え、豊かな感性を育んでほしいと始めた。(高江洲洋子)

 

エンカレッジは、厳しい経済状態にある家庭の子どもたちを対象に、北谷町から委託され、無料の学習支援を手掛ける。現在、県内8市町と契約して同様の教室を開講。月末にさらに3村と契約し教室を開く。

 

学力向上を目標に掲げているが、中部エリア統括の阿嘉圭悟さんは「子どもたちの中には学習の意義が見いだせなかったり、勉強を通した成功体験が得づらかったりして、通塾が続かない子もいた」と振り返る。

 

2年前、嘉手納教室で楽器練習を取り入れたところ、講師との間で信頼関係が生まれ、塾生同士の会話も盛んに。学習意欲も湧いてきた。北谷教室でも昨年から、ギターやベースを置き、休み時間などに演奏を楽しめるようにしてきた。

 

一方、琉響は社会貢献的な活動を目的の一つにしており、双方の思いが一致した。7月27日に開いたワークショップは、小中学生20人が参加し、トランペット奏者の田中孝子さんと、トロンボーン奏者の井上真紀子さんが講師を務めた。

 

琉響事務局の高江洲貴美恵さんは「音楽を介して子どもたちの間で、共通点や話題が生まれ世界が広がると思う」と意欲をにじませた。

 

琉響の定期演奏会への参加など今後、子どもたちが発表する場を設ける予定だ。桑江中1年の女子は「指の位置と、ドレミの音の出し方を学んだ」と目を輝かせた。「いい音が出るとうれしい」と浜川小4年の女子。北玉小5年の女子は「てぃんさぐぬ花や映画『パイレーツオブカリビアン』の主題歌が吹けるようになりたい」と夢を描いた。北谷中3年の女子は「おなじみの曲をすらすら吹けるようになりたい」と、目標を口にした。

 

■使わない楽器の提供を
NPO法人エンカレッジ北谷教室でのワークショップは、参加者が予想以上に多く、楽器の不足が悩みの種。琉響は使わなくなった楽器の提供を募っている。探している楽器はトランペットやコルネット、トロンボーン、ホルン、チューバ。連絡先・問い合わせは琉響事務局(電話)090(9783)7645、メールはryukyu.sym@gmail.com

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