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(写真・琉球新報社)

 

沖縄県宮古島市の小規模離島、大神島の自治会が島の歴史や伝統文化などを記録した生活誌「ウプシ」を出版した。

 

高齢化により現在の世帯数は15、人口は約30人しかおらず、存続の危機にひんしている大神島で初の生活誌だ。島内外の人たちが島の将来を案じ、足かけ5年を費やして長老から聞き取り調査を実施した。これまで内容がほとんど知られていなかった秘祭・祖神祭(ウヤガン)の様子などが記されている。

 

大神島は宮古島の北東約4キロに位置する。宮古島周辺離島の中で唯一、架橋されておらず、島尻港からの定期船が生活の足だ。ウヤガンなどの祭祀(さいし)に代表される「祈りの島」としても知られる。人が住み始めて約200年とされる島は、秘祭があるため外部の研究者による調査を拒んできた。島の歴史の継承は住民間の口承が中心だった。

 

生活誌にはウヤガンの様子が詳細に記されているほか、神事の際に歌われるアーグ(神歌)の「うふぷなかの歌」が初めて活字で記されている。

 

28日、大神島離島振興コミュニティーセンターで出版祝賀会が開かれ、島内外から約50人が集まった。大神自治会の久貝愛子会長は「立派な記念誌ができて感謝でいっぱいだ。後輩へ伝えていきたい」と語った。

 

「ウプシ」は島の言葉で大岩のこと。港の防波堤横にあり、大神島へ船で渡る際の目印となっていた。島で最高齢の狩俣英吉さん(91)は「本物のウプシみたいに、島の目印になるように大切にしないといけない」と顔をほころばせた。

 

生活誌は大神島の歴史や生活、人生の行事、祭祀などを項目ごとに記録。全127ページ。1冊千円(税込み)。問い合わせは「おぷゆう食堂」(電話)080(1726)8698

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