6月23日の「慰霊の日」にちなみ、米国人監督ジャン・ユンカーマンさんのドキュメンタリー映画「沖縄 うりずんの雨」が6月24日、米カリフォルニア州ガーデナ市の北米沖縄県人会で上映された。沖縄戦や米軍基地問題に焦点を当てた映画の上映会にはユンカーマン監督も出席し、出席者の質問に答えた。
出席者の多くが県人会のシニア2世会員で、中にはアメリカ人と結婚した92歳の沖縄生まれの会員も息子と来ていた。若い世代は非会員で新聞の案内を見てきていた。監督はウィスコンシン州ミルウォーキー生まれの65歳。スタンフォード大学(カリフォルニア州)東洋文学語科、ウィスコンシン大学大学院を卒業し「老人と海」「映画日本国憲法」などの作品が有名だ。
オリジナルのタイトルは「沖縄・戦火の跡」だが、邦題は「うりずんの雨」である。たぶん監督は山上徹二郎プロデューサーと相談の上、命名したのであろう。高嶺朝一前琉球新報社長、大田昌秀元県知事(故人)、翁長雄志知事、知花昌一元読谷村議、写真家の石川真生さんらが登場する。
上映後の質疑応答ではカリフォルニア州下院議員のアル・ムラツチさんが「監督はなぜこのドキュメンタリーを作る決意をしたのか」と質問。これに対し、ユンカーマン監督は「戦後のアメリカ占領期から今日に至るまで、米軍基地の負担を日米双方から押し付けられてきた沖縄の差別と抑圧の歴史を描き、現在の辺野古への基地移設問題につながる沖縄の人たちの深い失望と怒りの根を浮かび上がらせたかった」と答えた。さらに「真の平和を求め、不屈の戦いを続けている沖縄の人々の尊厳を描いたドキュメンタリーだ」と強調した。
沖縄からエルカミノシティー・カレッジに留学している岩崎カンナさん(20)は取材に「ドキュメンタリーを通して戦時だけでなく戦後の基地問題についても新たな知識を得ることができた。先日、兄の基地問題についての卒業論文を読んだばかりで、沖縄と基地の関係についてはますます疑問が深まっている」と語った。
地元の新聞で上映会を知り出席したという若い女性は「沖縄系ではないが、父が米国人で沖縄で性暴力事件がたびたび、起こっているとのニュースに接しているので、どのような対策が取れるのか考えてみたかった」と感想を述べた。 (当銘貞夫通信員)