第一牧志公設市場は正月明けで客は少なかったが豚肉を買い求める人の姿もあった=8日午後、那覇市 画像を見る

 

沖縄県内で豚コレラ(CSF)の感染が確認された8日、県内の精肉店や飲食店などからは風評被害を懸念する声が聞かれた。ただ店主らは「豚肉は安全。安心してほしい」と強調する。

 

「沖縄で発生するのも時間の問題と思っていた」。うるま市石川の丸政精肉店オーナー・伊波宏幸さん(58)の声は暗い。豚コレラは人に感染せず、仮に感染した肉を食べても人体に影響はない。それでも不安がる客もいたといい、「売り上げが落ち込むことも覚悟している」と語る。

 

正月は明けたが、トゥシビー(生年祝い)や旧正月で豚肉の需要は多い。「感染拡大を食い止めなければ、観光にも悪影響となりかねない」と危惧する。

 

那覇市松尾の第一牧志公設市場は、正月明けとあって客は少なめ。上原精肉店の上原正敏さん(59)によると、今のところ豚コレラによる影響はないという。ただ、この日の朝、市場内の精肉店に、客に対して安全性をきちんと説明するよう呼び掛けた。「私たちが丁寧に説明を尽くして安心してもらうしかない」。気丈に話した。

 

飲食店でも風評被害への心配は尽きない。うるま市で42年にわたってとんかつ店「かおる」を経営する上江洲薫さん(61)は「店で出しているとんかつには県産豚を使用しておらず、仕入れなどに影響はない」と話す。8日も客の入りに影響はなかったとする一方で、「今後が心配」と警戒感も示した。

 

県産のあぐー豚を使ったメニューを提供する飲食チェーン「我那覇豚肉店」の稲嶺悠さんは「朝からLINE(ライン)で連絡が来た。感染拡大への懸念はある」と厳しい表情を浮かべた。ただ、仕入れ先が感染エリアとは外れているのに加え、衛生管理を徹底していると強調。「安心安全な豚肉を使っていることを周知していきたい」とした。

 

小売り大手のサンエーは「仕入れなどへの影響は出ていない」。リウボウは「取引状況などを調査中」としている。

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