県内の持続化給付金の受給者らに送付された不正受給の認識を問う書面(読者提供) 画像を見る

新型コロナウイルスの影響で減収した個人事業者や中小企業を支援する持続化給付金を巡り、不正受給の認識を尋ねる書面が県内の複数の給付金受給者に送付されている。書面には「貴殿が不正受給等を行っている可能性があると考えております」と記され、受け取った人からは「給付要件を確認した上で申請したが、自分は不正受給に当たるのか」などと困惑する声も上がっている。

 

中小企業庁は2020年6月、不正受給対応専門チームを発足し、同年7月から調査を開始した。今回の書面は調査事業の一環で、同庁から委託を受けた弁護士事務所が不正受給の疑義がかかる人などを対象に、不正受給の認識確認を実施しているという。書面は3枚つづりで、「持続化給付金の不正受給等に関する認識確認」とされ、給付規定などが記載されているほか、「申請内容、提出書類、捜査機関を含む第三者からの情報提供等に基づき、貴殿が、持続化給付金の不正受給等を行っている可能性があると考えております」と書かれている。「認識確認書」には給付要件を「満たす」「満たさない」の項目にサインし、期限内の返信を求めている。

 

書面にサインし返信した本島中部の女性は「友人の紹介で給付金の申請をした。(書面が届き)驚いている。不正受給の認識はない」と話す。別の女性は「そもそも国が給付要件を審査した上で、私に支給したのではないのか」と疑問を呈す。

 

中小企業庁の担当者は「給付金の支給は救済に主眼を置いている。審査は適正に行っているが、簡素で書類上に限られている」と話す。同庁は給付要件を満たさずに受給した人は、速やかに給付金を全額返還するよう求めている。

 

県消費生活センターによると、県内で同様の書面を受け取ったという相談が今月、少なくとも3件あった。相談内容は「書面は信用できるのか」「受給要件を満たしているが、(書面が)届いた」などで、相談者の1人は給付金を返還したという。同センターは、同様の書面を送り付け個人情報などを聞き出す詐欺などにも注意するよう呼び掛けている。

 

持続化給付金の申請受け付けは今月15日に終了した。所管する経済産業省によると、支給した同給付金は約421万件、総額は約5兆5千万円。このうち、受給要件を満たさないなどの理由で返還された給付金は18日現在、1万50件、総額107億5千万円に上る。(高辻浩之)

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