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「前日まではピリピリして声もかけられないほどだったが、理事選後はほっとしたのか、安心した様子になったのがよくわかった」(相撲協会関係者)

 

1月29日の相撲協会理事選は次期理事長を目指す貴乃花親方(43歳)にとって大勝負の場だった。次期理事長は10人の理事によって互選で3月の大阪場所後に決まるが、それに直結するのが今回の理事選。10人の定員に対し、11人が立候補、高島親方以外の10人が新理事に決まったが、水面下での攻防は熾烈を極めた。事の始まりは2015年11月20日、北の湖理事長の急逝だった。

 

「協会ナンバー2の八角親方(52歳)が理事長代行になったのはいいとして、12月の理事会でまずひと悶着あった。八角が正式に理事長になったのだが、『3月までの短い任期でそんな必要があるのか、代行のままでいい』という反対意見が出た。投票の結果、正式に理事長就任が決まったが、反対したのが貴乃花らの一派だった」(相撲ライター)

 

この段階で貴乃花vs.八角の対立は明確なものとなる。今回の理事選で貴乃花にとって大きかったのは、山響親方が理事になったことだろう。

 

「山響は師匠の北の湖の急逝で部屋を引き継いだ。本来、理事選に出る予定はなかったが、初場所中の出羽海一門会で、『遺言だから出たい』と急に言い出した。一門の若手親方らの支持もあり出ることになったが、ベテラン親方らは苦い顔だった。というのも、山響は貴乃花シンパとして有名。出羽海といえば保守本流の一門ですが、じつは若手には貴乃花シンパが意外と多いんです」(某部屋の関係者)

 

と、ここまで聞けば、3月には貴乃花新理事長誕生か、と思えるが、事はそう簡単には運ばないようだ。

 

「理事選の前日におこなわれた年寄総会で、貴乃花は八角に食ってかかった。八角が推薦した同門の元親方を評議員会の新メンバーに入れようとしたが、それに待ったをかけた。結局は八角が折れて白紙撤回となったが、貴乃花の不遜な態度に、多くのベテラン親方たちは眉をひそめた。以前から理事会で『なんだそれ、聞いてねえよ』と言ったり、激昂することが多かった。『言いたいことを言えるのはいいが、改革、改革ばかりでついていけない』という声も出ている」(スポーツ紙記者)

 

若手からの人気は急上昇も、あとは悲願の理事長へ、ベテラン親方勢をいかに取り込めるかだ。

 

「たしかに、貴乃花に比べれば、八角は華がない。しかし、北の湖亡きあとの体制で、尾車親方がナンバー2の事業部長として支えたように、ベテラン親方からは受けがいいんです」(協会関係者)

 

決戦は3月28日。その票読みは?

 

「出羽海一門がカギ。貴乃花につけば新理事長誕生だ。ただまだ若い。長期政権を避ける意味で、まずは同志の伊勢ヶ濱を担ぎ、自分はその次、という選択もある」(協会関係者)

 

当初は八角圧勝と思われたが、ここにきて貴乃花逆転がみえてきた。3月、大阪場所は琴奨菊の綱取りがかかる場所。だがそれ以上に、土俵外の攻防戦、新理事長をめぐる攻防戦から目が離せない。

 

(FLASH 2016年2月16日号)

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