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フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一のチームは、2014年から青学駅伝チームのフィジカルトレーニングを担当している。

 

筋力トレーニング、準備運動、整理運動、ストレッチなどを、豊富なメニュー構成で提供している中野が言う。

 

「選手たちとはパーソナルに接することもあります。メンタル的なアドバイスをしたり、プライベートの悩み相談のような会話を持ったりもします。

 

走りかたについて相談を受けることもあります。あくまでも身体のメカニズムに基づいて答えますが、技術的な領域へも踏み込んでいくので、仕事の守備範囲はコンディションを整えるだけにとどまらないかもしれません」

 

青学駅伝チームの練習量は、ライバルと比べて多いわけではない。「むしろ、こんなに練習量が少ないの? と感じる人が多いと思います」と中野も言う。練習量の少なさには理由がある。青学だけではなく大学スポーツ界全体が、深刻な問題を抱えているのだ。

 

「整形外科のドクターと話をすると、『いまの若い選手は骨が弱い。腱が細い』と言います。

 

僕自身も同じことを感じています。いまの40代、50代の指導者が10代、20代当時にやっていた練習量を、2017年の10代、20代の選手に課すと、疲労骨折が続出してしまう。骨が圧倒的に弱くなっているからです。

 

その理由は食生活に起因していると考えられます。リンを多く含むインスタント食品や加工食品を日常的に食べることで、リンの過剰摂取による副作用として骨がもろくなってしまっている。そういう選手が多くなっているのです。

 

骨はもろいけれど、走る才能や技術はある。だから高いレベルで戦える。そのために、監督は厳しい練習を課す。その結果としてケガをしてしまう、というスパイラルです。

 

青学駅伝チームも例外ではありません。できることならたくさん走らせたいと、原監督も考えているはずです。けれど、選手たちにケガをさせるわけにはいきません。

 

だからといって、休養を与えてばかりいるわけにもいかないので、身体を強くするトレーニングにものすごく時間をかけているのです。

 

練習後のストレッチは、45分ぐらいやります。そのあとに交代浴をして、アイシングをして、さらに、またストレッチをする。走り込みの合宿では、身体のケアにこれぐらい時間をかけます」

 

――以上、中野ジェームズ修一、 戸塚啓氏の近刊『結果を出し続ける』(光文社新書)より引用しました。

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