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「まるで“見せしめ”。年寄総会でのやりとりは『あの大横綱でも逆らえばこうなるんだぞ』という内容だったと聞いています。念書のことも、親方から前もっては聞いていませんでした。きっと総会での様子を見て、従うしかないと決めたのだと思います」

 

こう語るのは龍神総宮社の辻本公俊祭主(65)。貴乃花親方(45)を支援し続けてきた“恩人”だ。3月29日に理事会が下したのは2階級降格処分だったが、親方は《相撲協会の皆様にご迷惑をおかけしたことを深く反省し(中略)ゼロからスタートして参ります》と全面降伏。そんな殊勝な姿勢は、貴公俊を思っての行動だったという。辻本氏が明かす。

 

「騒動後、親方は『たとえ貴乃花部屋が取りつぶしになってもいい。自分が解雇されてもいい。何とか貴公俊に相撲を続けさせてあげたいんです』と言っていました。貴公俊は相撲を続けられることになり、親方も解雇されませんでした。だからこれでよかったんです」

 

なりふり構わぬ謝罪もあって、貴公俊への処分は「一場所出場停止」のみにとどまった。親方の決断を、女将である景子さんはどう思っているのか。辻本氏はこう続ける。

 

「ホッとしていると思います。というのも暴行騒動後に親方の態度が軟化し始めたころ、彼女が『もう闘わなくて良いのでしょうか?』と聞いてきたことがあったんです。言うなれば終戦直後の母親たちと同じ気持ち。(日本が)無条件降伏をして、身も心もボロボロ。でも夫も子も命だけはなんとか助かった。それだけで御の字だったのです。女将さんは必死に夫を支えようとしていましたす。でもやはり、ギリギリの精神状態だったのでしょう」

 

今後は「審判部」に所属することになる貴乃花親方。最悪の事態は免れたとはいえ、前途多難な道のりが待ち受けているという。前出の辻本さんがこう打ち明ける。

 

「さっそく審判部の一員として、巡業に同行するよう言われたそうです。少し前まで、親方は巡業部長。巡業でいちばんえらい立場でした。しかしこれからはいちばん下の立場で同行することになるわけです。他の親方から責められることも多いはず。きっと、たいへんだと思います。それでも親方が言うように、ゼロからやっていくしかないんですよ」

 

今後も部屋が続く限り応援し続けると語る辻本さん。そして最後にこう語る。

 

「『負けるが勝ち』という言葉があります。ずっと後になってから、この言葉の意味がわかる日はきっとくる。私はそう信じています」

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