18年11月当時は太ももの筋肉が目立っていたが、全日本選手権では体の線は細くなっていた(写真:アフロ) 画像を見る

「全日本選手権後の会見でも強気な発言を続けていたのは、いつもの彼でした。しかし改めて間近で見たとき、『ずいぶん体が細くなっているな』という印象を持ちました……」(スポーツ紙記者)

 

昨年12月22日に行われた全日本選手権で宇野昌磨(22)に敗れ、2位に終わった羽生結弦(25)。羽生が日本人相手に負けたのは、実に5年ぶり。しかもGPファイナルでネイサン・チェン(20)に敗北した直後ということもあり、衝撃は大きかった。なぜ、これほど波があるのか。羽生の知人が明かす。

 

「羽生選手は今シーズン前から肉体改造に取り組んでいます。前人未到の4回転アクセルを成功させるべく、体重を絞ろうとしているのです。理由はもちろん、ネイサン選手にリベンジを果たすため。最近の浮き沈みの激しさは、それが影響しているかもしれません。体重と体形は、フィギュアスケート選手にとって非常に重要なもの。ちょっとした変化が、大きな影響をもたらすのです」

 

とはいえ体重をとにかく絞ればいいのかというと、そう簡単な問題ではない。もともと身長171cmで体重53kgと、線が細かった羽生。“ペンシルボーイ”ともいわれていた彼が平昌五輪に向けて行ったのが、筋肉量のアップだった。だが現在行っている肉体改造は、当時とは真逆のものだ。そこにはトップ選手ならではの“極限の選択”があるという。

 

「フィギュアのジャンプは、体重が軽いほうが有利です。しかし筋肉を鍛えすぎると、その分だけ体重が増えます。つまり必要な筋肉をつけながらも、体重と体形をキープする。そんな“極限のせめぎ合い”が必要になります。ましてや、今季の羽生選手は誰もやったことがない4回転アクセルに挑もうとしています。羽生選手はもとから体重維持に細心の注意を払っていました。そんな彼がさらに肉体を絞るとなると、決して簡単なことではありません。必要な筋肉をこれまで以上に鍛えながらも、限界まで余分な筋肉を落とす必要があるのです」(フィギュア関係者)

 

そのせめぎ合いは体重数グラム、体形数センチ単位での調整にまで及ぶという。羽生の肉体改造について、佐野さんもこう解説する。

 

「4回転アクセルを成功させるためには、3回転アクセルよりも高く跳ぶ必要があります。そのためには、筋肉のバージョンアップが不可欠。具体的には別の筋肉ではなく、3回転アクセルを跳ぶときに使っている筋肉の増強です。また回転が速くなっても崩れないように、きちんとした軸を作っておかなくてはなりません。そのためには腹筋や背筋、インナーマッスルをさらに強化しなければならないでしょう。ただ増加した分、どこか違う脂肪や筋肉を減らさなくてはなりません。それほどフィギュアスケートというのは、繊細な競技といえるでしょう」

 

ストイックに上を目指す羽生。すべてはネイサンに勝つため。その準備は、着々と進んでいる。

 

「全日本選手権のフリーでトリプルアクセルに失敗したのは、まだ改造中の肉体に感覚が追いついていないためだと考えられます。実際、本人も試合後に『体と心のイメージが乖離した』と語っていましたからね。今は試合数をこなし、肉体改造した体に感覚を合わせようとしている最中なのでしょう。しかし3月の世界選手権までにはきっちりと仕上げ、復活した姿を見せてくれるはずです」(前出・フィギュア関係者)

 

「女性自身」2020年1月21日号 掲載

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