立ち技格闘技「K-1」のエース・武尊(29)。3月28日のレオナ・ペタス(28)戦もKO勝利を飾り、戦績41戦40勝1敗(24KO)だ。本誌が彼に、格闘技のことだけでなく、あまり他では語らないプライベートまで聞くと、真摯に、そしてユーモアを交えて答えてくれた。知られざる素顔の一部始終ーー。
ーーK-1を象徴する代表と言われていますが、それ故のプレッシャーはありますか?
「そうですね。プレッシャーはもちろんあります。K-1を背負っているっていうのがあるので、負けはもはや、自分だけの負けじゃなくなっています。だから試合前はめちゃくちゃキツいですね。
昔は試合が楽しくて仕方なかったんです。人前で目立てる! かっこいいところを見せられるという楽しみしかなかったのが、ここ5、6年くらいは恐怖しかないというか……。試合前もですけど、1年中、恐怖と戦っている感じです。
練習するのも仕事するのも全部恐怖から逃げるためにやっている感覚です。強くならないと負けという恐怖とか、自分が負けた時の周りの反応を考えちゃったり、今いる立場が崩れたらどうなるのか考えながら一年中やっています。
この前の試合はタイトルマッチでしたし、次にビックマッチを僕はやりたいと思っていて、それに向けて一回でも負けたら僕は引退すると決めていたので負けられない戦いでしたね。試合前2、3週間は不眠症になりました」
ーーどのように気持ちを保っているのでしょうか。
「もうなんか耐えるって感じですね。いつもこれでやってきたというのもありますし、耐えて耐えてこんだけキツい思いしてるファイターは他にいないだろうという、自分の中で優越感ではないけど、こんだけ苦しい思いしているから絶対負けるわけないという自信だけで耐えていました」
ーー今まで印象に残った試合は?
「2年前にタイの選手でムエタイのチャンピオン(ヨーキッサダー・ユッタチョンブリー)と戦った試合ですね。僕はタイに修行に行ったこともあるんですけど、そのときに出た試合でキックボクシング始めてから初めて負けたんですよね。そこの頂点にいる選手が自分の中では雲の上のような存在だったので、K-1チャンピオンとして、ムエタイのチャンピオンを倒せたというのは僕の中で一つ目標を達成した感じですね」