「先月19日、ドコモが12月上旬発売予定のスマホ『MONO』を発表しました。驚いたのはその価格。648円(税込み、以下同)というのです。スマホは、アイフォーンなど高性能な機種なら7万円超、低価格モデルでも1万円台後半からが一般的ですから、648円は破格です。ですが、本当に『買い』なのでしょうか」
そう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。ドコモが今回出すスマホは、驚きの価格で注目を集めた。大手ということで安心感はある……。そこで荻原さんが、本当に『買い』なのか試算してくれた。
MONOは本来約3万円の端末。それを648円で買うには「1年間使うなら割り引くよ」という「端末購入サポート」契約が必要だ。通話料定額の「カケホーダイ」や通信料定額の「パケットパック」などの加入も必須。あまり通話しない人には、1回5分以内の通話なら何度かけても月1,836円の「カケホーダイライト」がある。これと通信量5GBのセットで月額7,560円(「ドコモにチェンジ割」などで安くなるケースも)。
「カケホーダイやカケホーダイライトは2年契約です。2年分の総支払い額を計算すると機種代金648円を含めて約18万2,000円(《1》)です。格安スマホと比べると、DTIの『でんわかけ放題』が同様に1回5分以内の通話なら何度でも月842円です。これと通信量5GBとで月額は2,916円。MONOと同等の約3万円の端末を買うと2年間の総支払い額は約10万円(《2》)で、《1》のMONOのケースより約45%安くなりました」
いっぽう、通話が多い人には、ドコモなど大手によるスマホかけ放題が、誰に、いつ、どれだけ長く通話しても月2,916円と魅力的だ。スマホでの通話料は30秒21.6円が基本なので、1カ月68分以上通話する人はお得になる。
「ならばとMONOを買い、カケホーダイと通信量5GBのセットにすると月額8,640円。MONOの端末代が安くても、2年間の総支払い額は約20万8,000円(《3》)です。こんな方は通信用に格安スマホ2台持ちがお勧めです。ガラケーのかけ放題は大手どこでも月2,376円です。通信はDMMmobileで5GBが月1,307円ですから、月額は約3,700円。端末はガラケーを約1万円、スマホを約3万円で購入すると、2年間で約12万8,000円(《4》)です。MONO1台の《3》より、2年で8万円も割安です」
格安スマホへの乗り換えは、更新期間以外だと解約金が約1万円かかるが、払っても得になる人もいる。荻原さんは、比較のため通信量を5GBに揃えたが、自分の通信実績に合わせて試算を。
「さらに、昨年5月以降に発売されたスマホは購入から半年たてば、通信会社を替えることが可能になりました。つまり、ドコモでMONOを買い半年使った後で、ドコモとの契約を解除。次は格安スマホと契約すれば、MONOをそのまま格安スマホとして、安い通信料で使えるのです。ただし、ドコモを半年で解約するには、端末購入サポートとカケホーダイの解約料、両方で約2万5,000円必要です」