「限られた時間の中に家事を配置し、家族の状況をも調節するシュフ(主婦・主夫)はデザイナーです!」
こう語るのは、フルタイムで働く妻を支える、日本唯一の「主夫芸人」の中村シュフさん。家庭科の教員免許(中高)を持つという“本格派”で、著書に『主夫になってはじめてわかった主婦のこと』(猿江商會)がある。
現在、安倍政権下では「女性が輝く社会」が声高に叫ばれている。厚生労働省による「イクメンプロジェクト」(’10年)や、「女性活躍推進法」の閣議決定(’15年)もあり、一見、女性が結婚・出産後も家に縛られることなく、仕事、ひいては人生を謳歌できる態勢が整ったかのようだ。しかし、現実はさにあらず。
確かに働きやすくはなったものの、現役世代の女性たちは、「家のことはあなたが完璧にやってね」というプレッシャーから、ちっとも解放されていないのだ。労働力としてアテにされながら、家事を丸投げされ続けていたら、女性たちは「活躍」どころか、早晩ボロボロになってしまう。
そうならないためには、何はさておきパートナーの意識改革が必要だ。単刀直入に言えば、これからの時代に必要なのは、妻とともに家事をする夫=「カジ夫」なのだ。これは、何も共働きの現役世代に限ったことではない。「男は仕事、女は家庭」という「昭和型」の夫婦生活を長年送ってきた家庭であっても、夫の家事参加は欠かせない。超高齢社会を迎え、“老老介護”も珍しくなくなった現在では、夫婦がともに家事をこなせなければ、妻に何かあったときに乗り切れなくなるからだ。
では、亭主を「カジ夫」にするためにはどうすればいいのか。そこで中村さんに、上手にカジ夫にするためのアドバイスを聞いた。
【STEP1】お互いに思いつく家事を書き出す
「炊事」ひとつとっても、「調理」以外に、食材の買い出しや食器洗い、排水口の掃除など、多くの家事が付随していることを理解させるべし!
【STEP2】カレンダーに今日やった家事を書き込む
今日やる「予定」の家事ではなく、実際に「やった」家事というのがポイント。1日の「実績」を可視化し、日々の「家事」の量を確認してもらおう。
【STEP3】ピンポイントで家事を頼む
自分の「やり方」を乱されると逆に手間が増えてしまう。「洗濯物を取り込んでおいて」だけだと、好意で夫が畳んでくれてしまい、やり直しに……。「ソファに置いておくだけでいいから」など、頼み事の範囲を明確に。
【STEP4】仕事にたとえてみる
調理など“派手”な家事ばかりする夫には、「それは資料作りもせず、プレゼンには出たがる新入社員のようなものよ」と仕事にたとえて、地味な家事(買い出しや洗いものなど)の積み重ねの大切さを伝えてみよう。
【STEP5】出産後は“間接的な”育児を頼む
育児は不測の事態の連続。そんなときこそ夫が家事を担当することで、妻は育児に注力できるように。間接的に育児を手伝ったことにもなるのだ。
【STEP6】すべてを任せる日を作ってみる
「結局は、妻がなんとかしてくれる」という甘えを断ち切るために、子どもの世話も含めて家のことを夫に任せる日を作ってしまうのも手。たった1日外出してしまうだけで、夫も家事の大変さが身に染みるはず!
【STEP7】笑顔で優しく、家族に接してもらう
「家事の目的は家族を笑顔にするためです。とくに男性には、笑顔で家族と接してほしい。カジ夫への道で、ある意味いちばん大事な部分です!」
106万円の壁を意識しながら“パート”で芸人をしている中村さんの提案は、説得力大。
「家事には流れがありますよね。夫が家事をしていないということは、すでに奥さんがデザインした流れがあるはず。まずは、その流れを乱さないような、ちょっとしたことから始めてみましょう」(中村さん)