激安ではない。値上げを控え続けてきた結果の、昔ながらの適正価格。学生の町、早稲田で今も昔も繁盛しているラーメン屋さんが“軽食&ラーメン”のメルシーだ。人気メニューのラーメン(390円)は、たっぷりのにぼしでダシをとった、しっかりめの醤油味。にぼしに醤油。老若男女問わず、日本人なら誰もが「うん、これ!」とうなずいてしまう味。スープに負けない中太麺。チャーシュー、メンマ、モヤシ、コーン、ネギと具のバランスもちょうどいい感じ。「こんな本格的においしくて、390円?」と感動すること、うけあいだ。
メルシーのラーメンが生まれたのは、今から50年前の昭和33年。今年で90歳になる店主の小林日出男さんが、当時荻窪で親戚が営業していたラーメン屋で働きながら、自分の味を作り上げた。「どこの店? 覚えてねえ、もう忘れちゃった!」と豪快に笑う小林さん。「なんたってバーテンあがりだったから、最初は見よう見まねで…」。
今では50年の伝統を持つメルシーのラーメン。でも創業者の小林さんの人生は、最初からラーメン一筋というわけではなかった。