メルシーの味は変わらない。僕も15年通っているが、味にブレがない。特にスープがいつも熱い。15年、ぬるかった記憶がない。その事を先代の店主・日出男さんに伝えると「変わらないって…ラーメンの作り方はだいたい同じだよ!」と一笑に付されてしまった(笑)。
「火加減、にぼしの量には毎日気をつけています。たぶん、にぼしは他のお店よりもたくさん使ってる。日によってにぼしは味の出方が違うから、毎日食べて確かめて。出が弱い時は、合わせるガラスープの量を調節して、味が一定になるように気をつけてますね」(二代目店主・一浩さん)。
3年や5年ならまだしも、20年、50年と同じものを出し続ける、そのプロ根性は数年の“修行”では身に付かない気がする。
「でもそれはホラ、習慣になっちゃうと別になんともなくなっちゃう。朝、当たり前に起きて、無意識のうちに火をつけて…だって仕事は何でもみんな同じだからねえ」事もなげに言う一浩さん。ラーメンテーマパークからのオファーは「そこまで手、回らないからね(笑)」、お店への弟子入り志願者も「人手、足りてたから…」とラーメン作り同様、余分なことはしないのがメルシーのポリシー。
「ずっと同じです、これからも」。あたりまえのように、一浩さんはそう言った。