「食べやすいですか? ありがとうございます。うちのラーメン、二日酔いのお客さんに人気なんです(笑)。朝まで飲んだサラリーマンの方々が『これなら最後まで食べられる』って」

 ここは築地。他の土地と最も異なるのが営業時間。市場とともに目を覚まし、朝の5時から店を開け、昼2時前には店終い。まだ暗いうちから早朝ラーメンに舌鼓を打つお客さん。お店の準備は朝4時から始まる。

 スープやチャーシューなどの仕込みは、店終いの後、午後から夕方にかけて行う。家に着くのが夕方の5時頃。夜9時までには寝て、朝3時には起きる。

 

  「父が亡くなるまでは、サラリーマンをしていましたからね。最初のうちは生活サイクルががらりと変わるのは、大変だったかもしれない。でも大変なんて感じてる余裕もないスケジュールですから(笑)。ところてんが押し出されるように、ずっと続けてきました。もう23年経ちますしね」

  ぶっきらぼうな、あるいは押し出しの強い応対も見られる、築地のお店。そんななかで『若葉』のご主人とおかみさんの接客は、とても人あたりがよい。

  「主人はもともと営業畑の人間でしたから、そうかもしれないけれど、私はそんなことないですよ(笑)」

  奥さんの孝予さんは吾郎さんのサラリーマン時代の同僚で、会社時代に2人は結婚。築地で生まれ育った孝予さんであるが、まさか自分がお店をやるとは思わなかった。

  「子供の頃は、やはりこのあたりは来ちゃいけないって言われていたし、結婚してからは主人はずっとサラリーマンと思ってたいたし。だから最初は反対しました(笑)」

 

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