第2回 本場の中国美容鍼を体験!
甲斐美也子さん(44歳) |
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近年、日本でもポピュラーになってきた「中国医学」。身体の内側から根本的に治そうとする中国医学は、香港の人々にとって身近な存在です。「肌をきめ細かくしたい」「ハリを取り戻したい」「シミを消したい」など、美容の悩みで訪れる人も多いとか。
今回は、ご主人の仕事の都合で香港在住の甲斐美也子さん(44歳)に、中国医学クリニック「Modern TCM」で美容鍼を体験してもらいました。
<!– @page { size: 21cm 29.7cm; margin: 2cm } P { margin-bottom: 0.21cm } –> 「日ざしの強い香港にいると、気になるのはシミ。そしてやっぱり、たるみも気になります」と甲斐さん。 外国で治療を受けるのって「言葉が通じなかったらどうしよう?」「何をされるか分からない」と、ちょっとひるむものがありますよね。 甲斐さんも、以前から美容鍼に興味があったけれど、一般的な病院は広東語でやりとりをするので、これまで試す機会がなかったそうです。 <!– @page { size: 21cm 29.7cm; margin: 2cm } P { margin-bottom: 0.21cm } –> 今回、治療を受けた「Modern TCM」で診察してくれたのは日本人の松谷葉子先生。日本語で診てもらえるので安心です。 病院の中は清潔で、香港人や日本人の患者さんがたくさん待っています。 |
松谷葉子先生 厦門大学医学院卒業、遼寧中医薬大学国際中医師。99年より香港「Modern TCM」で中医として勤務。旅行で訪れる患者さんには、日本で入手できる漢方の指南などもしてくれる。火・土の2日だけの勤務なので事前に予約を(ホームページにメールの予約フォームあり) |
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○まず「体質」を見る
一般的に日本では中国医学の病院でも診察は問診が中心。けれど香港では「問診」のほか、脈をとる「脈診」と舌の色や状態を診る「舌診」で、患者さんの「体質」を診ます。「体質」というのは一定ではなく、健康状態によって変わるもの。「体質」により、同じ病気でも違う漢方薬が処方されることもあるし、違う病気でも同じ薬が処方されることもあるそう。この点は西洋的な現代医学とかなり違います。
体質を診る時の目安は――
■「陰(体が動きづらく、冷えている)」のタイプか、「陽(活動的で、熱い)」のタイプか?
■「虚(体力が無い)」のタイプか、「実(体力がある)」のタイプか?
■「気(生命エネルギー)」「血(血液)」「水(体液)」の状態はどうか?
などを診て、判断します
●舌の色や舌苔の量などをみる「舌診」。3人のお子さんがおられる甲斐さん。「自分が思っているよりも身体は疲れていますよ」と診断された |
●脈のうちかたをみる「脈診」は経験がないと判断が難しいという |
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美肌になるためにはまず、内臓を健康にすることが重要、と松谷先生。甲斐さんの「ハリを取り戻したい」「シミを消したい」という悩みも「改善できますよ」とキッパリ。ただし前提として
■煙草を吸わない
■お酒はほどほどに
■睡眠を十分にとる
といった生活態度が必要だそう。不健康な身体は漢方薬を飲んでも、薬効の9割はそのまま流れてしまうのです。「普段、身体をいじめていて、さらにおいしくない薬を飲むのでは、毎日、頑張っている身体が可愛そうですよ」と先生。逆に、身体をいたわろう、という意識をもつと、身体も喜んで、改善されるのも早いそうです。
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○腎臓の“元気の貯金”がリフトアップの鍵
中でも睡眠は“腎臓”のために、とても大切な部分。腎臓はアンチエイジングの要ともいえる部分なのです。身体全体をサポートしているところで、生殖機能とも関係が深いとされています。
疲れやすい、腰が悪い、尿の出が悪い、夜によくトイレに起きるなどは、腎臓が弱っている典型的なサイン。けれど日本人の患者さんは、腎臓が悪いと思っていないことが多いそう。
腎臓には“元気の貯金”という、誰もが生まれた時から持っているエネルギーが蓄えられています。体力的に無理をした時には、この“元気の貯金”から貯金を引き出し、サポートしているのです。
いつまでも若々しい人は、この“貯金”がある人。けれど無理を続けると、20代、30代前半で、無くなってしまう人も。もし無くなってしまっても大丈夫。治療すれば少しずつ、増やすことはできるそうです。
「夜の10時から12時までは、腎臓が疲れをとり、リフレッシュする時間。12時から深夜2時までが、次の日のエネルギーを蓄える時間。ですから美肌になりたいなら、夜の10時には寝ることをおすすめします」と先生。
肌のたるみは、皮膚の下の筋肉や細胞が弾力を失っているから。腎臓が健康であれば、胃腸をサポートし、胃腸の機能が上がれば、新しい筋肉が作られ、肌のハリは戻ってくるそうです。リフトアップしたい、という患者さんには、腎臓と胃腸の機能を良くする漢方薬を出すことが多いとか。
甲斐さんは「睡眠不足。自分が思うよりも身体は疲れている。そして胃が動いていない、と言われました。体力には自信があったので、少し意外」といいます。
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○シミは肝臓が良くなれば薄くなる
そして甲斐さんが気になる、という肌のシミ。シミは、血液が汚れ、流れが悪いからできると、中国医学では考えます。血液をためている倉庫が肝臓です。
「顔は身体の先端にあるので、血流が悪くなりやすい部分。腎臓と肝臓の機能を高めることで、シミは薄くなっていきますよ」と松谷先生。
また肝臓は、情緒を司る部分でもあり、ストレスに弱いところ。シミをとりたい、と思っても、落ち込んだり、焦ったりすると、肝臓は動かなくなってしまうのだそうです。
「だから香港の女性みたいに、怒りや悲しみはパッと出して、パッと忘れる方が肌にはいい(笑)。“心の詰り”は“身体の詰り”。香港人は、感情を抑えて、お肌の調子を悪くしたらソン、と思っていますよ(笑)」。
こうした内臓機能の低下は、漢方薬を飲むことによって、改善されていきます。
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参考までに、肌が乾燥している人、アトピーや肌疾患のある人は、肺の働きが弱まっていることが多いそうです。
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○いよいよ美容鍼を打ちます!
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そして診断が終わった後、いよいよ鍼を打っていきます。美容鍼はシミ、しわ、顔のたるみやむくみなどに効果が期待できるそう。
鍼を打つことで、皮膚の下にある細胞やリンパ、毛細血管を直接刺激し、活性化させます。皮膚の新陳代謝が良くなることで、シミがなくなっていく、吹き出物が早く治る、などの効果に繋がるのです。
通常は、顔に10本から20本の鍼を打ち、状態によっては全身に打つことも。顔の場合、基本的には顔の中心からシンメトリーに打ちます。シミには周囲に集中的に打つこともあります。
甲斐さんいわく「15分から20分くらい刺したまま。本当に細い鍼なので、痛みも、違和感もありませんでした」。
そして結果は「すぐに血行が良くなり、ホウレイ線も薄くなったと思います。松谷先生も他の先生方も、みなさん熱心で、分かりやすく話して下さったので、普段の生活習慣を見直すきっかけにもなりました」。
旅行で香港を訪れた人でも美容に関心が高い人なら、とても面白い経験になると思いますよ、と甲斐さん。そして、美肌のためにも、まずは身体から健康にするべく、漢方薬を処方してもらい、しばらく通院することに決めたそうです。
そして松谷先生は、美肌をつくるには、漢方薬や美容鍼よりもまず、身体と心に良い生活をすることが大切、といいます。
クコやナツメ(皮膚が潤う)、アーモンドやクルミ、ゴマ(良質な油が摂れる。ただし油の取りすぎは血を汚すので適量を)を食べるのもおすすめだそう。
「身体が楽だと心も楽になりますし、心が楽なら身体も楽になる。それが美肌につながっていくんですよ」。
“心美人”と”お肌美人”は同じ、というのが中国医学の考え方。そのためにも、自分の身体の状態を知り、“気楽”な気分で毎日を過ごすのが、美肌の近道。とはいえ、なかなかそうはいかないのが現代。漢方や美容鍼を上手に取りいれてゆっくりと、お肌美人を目指しましょ。
漢方に使われる生薬の数々。通常はこれらを数時間、煎じて飲む。処方される漢方は15種類から18種類ほどの薬材を合わせるそう。「Modern TCM」では煎じ薬だけでなく粉の薬も用意している
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①澤瀉 ②丹皮 ③熟地 ④生地 ⑤茯苓 ⑥大棗 ⑦百合 ⑧枸杞 ⑨淮山 ⑩苡米 |
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病院で出される「四花健美安眠茶」。4種類のお花のお茶
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お茶の中身 ①素馨花 ②玫瑰 ③菊花 ④茉莉花
今回、美容鍼を打ったのは同病院の沈先生。施術後すぐに顔色が良くなるなどの効果を実感 ①陽白:細胞を刺激し、筋肉をほぐし、しわの改善をする ②陽白:細胞を刺激し、筋肉をほぐし、しわの改善をする ③印堂:細胞を刺激し、筋肉をほぐし、しわの改善をする ④瞳子[骨翏]:細胞を刺激し、筋肉をほぐし、しわの改善をする ⑤四白:血流を良くしリフトアップ ⑥迎香:ホウレイ腺の溝を刺激し細胞を活性化する ⑦迎香:ホウレイ腺の溝を刺激し細胞を活性化する ⑧承漿:リフトアップ ⑨瞳子[骨翏]:細胞を刺激し、筋肉をほぐし、しわの改善をする ⑩四白:血流を良くしリフトアップ |
松谷先生おすすめ。香港のスーパーで手に入る、お肌に良い食品 ①緑豆粉皮(緑豆を使った板状の春雨。サラダなどに便利) ②燕麥核桃糊(クルミの粉、ピーナツの粉とオーツ麦、砂糖入り。お湯で溶いてすぐに飲める) ③黒五珍(黒モチ米、黒豆など5つの黒い穀物と蓮の実、南瓜の種、漢方薬にも使われる乾燥した山芋、ハトムギなど15種類の穀物等が入っている。お湯で溶いて朝食などに) ④金銭龜膏(缶詰の亀ゼリー) ⑤即溶芝麻糊(お湯を注ぐだけで食べられるゴマ汁粉) ⑥雪蛤膏(雪蛤膏のレトルトパック。蓮の実、白キクラゲも入っている) |
【データ】
Modern TCM(新華中醫診所)
住所 Room612, Melbourne Plaza, 33 Queen’s Road Central, Hong Kong. 香港中環皇后大道中33號萬邦行611-612室電話852-3107-9811 FAX852-3107-9877 診療時間 :月~金10:00~13:00、 14:00~19:00 土10:00~13:00 、14:00~18:00 初診料HK$150 美容鍼HK$350 薬(1回分)HK$80 HP:www.moderntcm.com.hk
撮影/久米美由紀
文/野村麻里