「コーヒーを飲むと、内臓脂肪から脂肪酸が溶けて血中に出てきます。この脂肪酸を肝細胞に取り込んで燃やす必要があります。このとき肝細胞の門番(CD36)のスイッチを入れて門を開くのはカフェイン。次にクロロゲン酸が脂肪をCPT1というタンパク質に乗せてミトコンドリアに入りやすくします。ミトコンドリアの中でもクロロゲン酸が脂肪を燃やすのに必要な酸化酵素を刺激して燃焼効果を高めます。これがコーヒーのW効果です」
そう語るのは、栄養成分ブレンドコーヒー研究家で薬学博士の岡希太郎先生。最近になって、コーヒーに健康効果があるということがどんどん発見されている。そのなかでも注目なのが、体脂肪を燃やしてメタボを予防改善するというクロロゲン酸だ。
コーヒーの主成分ともいえるカフェインは焙煎しても損なわれることはないが、クロロゲン酸は焙煎によってどんどん少なくなっていくという。クロロゲン酸を有効に摂取したいなら豆を浅煎りにすることが大事。また、クロロゲン酸の効果はコーヒー豆からいれたコーヒーだけに限らず、インスタントコーヒーや缶コーヒーでも得られると岡先生は話す。コーヒーの効果に注目し、クロロゲン酸を増量した商品も売られている。
また、コーヒーは運動する20〜30分前に飲むと脂肪燃焼を助ける効果をめきめき発揮するという。カフェインとクロロゲン酸のWパワーが脂肪をミトコンドリアに送り込んでくれるのだ。コーヒーを飲んで運動すると糖類よりも脂肪が燃えてくれるので、体内の糖類は減らずにすみ、血糖値の急降下もない。このおかげで運動後の激しい空腹&ドカ食いを防ぐことができる。
さらに、今年2月に国立循環器病研究センターと国立がん研究センターなどのチームが実施した調査では驚くべき研究結果が報告されている。
45~74歳までの男女を平均13年間追跡調査した結果、コーヒーを飲むと脳出血や脳梗塞などの脳卒中の発症率が20%下がったという。これはクロロゲン酸の働きで血糖値が改善され、脳卒中の原因の一つである糖尿病の発症を抑えたことが要因なのだとか。1日に3~4杯のコーヒーを飲んでいる人はまったく飲まない人に比べて2型糖尿病にかかるリスクが最大25%も少ないという。ほかにも、大腸がんや心筋梗塞を予防する効果などにも最近、注目が集まっている。
最後に、こうしたコーヒーの健康効果をさらにアップする食べ合わせをご紹介。
バナナにはビタミンB、E、必須アミノ酸、食物繊維が。コーヒーと合わせて摂ることで、便秘を解消、美肌を作り代謝アップ。
また、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールは強力な抗酸化作用が。体を活性酸素の害から守り、動脈硬化やがんを予防。チョコレートの香りには注意力や記憶力を上げる効果があり、陸上競技でスタートが早くなることが確認されている。コーヒーと組み合わせることで、運動効果をあげダイエットにも最適だ。