昨年よりダイエット業界を騒がせていた新しい肥満治療薬がいよいよお披露目される見込みだ。武田薬品工業の「オブリーン」。脂肪吸収を抑える薬で、食事の脂肪分のおよそ30%が消化されず、便として一緒に排出されるんだとか。
さっそく試してみようと武田薬品に問い合わせたところ、「まだ薬価も決まっておらず、発売時期も未定」とのこと。そこで、成城松村クリニック・松村圭子院長に相談すると「オブリーンは『ゼニカル』という薬と同じメカニズムです。胃やすい臓から分泌される脂肪分解酵素のリパーゼの活性を抑えることで、脂肪の吸収を抑制し、便とともに排出します」とのこと。
そこで、日本では未承認だが、個人輸入なら入手可能というゼニカルで、脂出しダイエットの効果を検証!高脂肪な食事ほど脂が大量に出るそうなので、高カロリーざんまいの食生活を3日間敢行し、食事のたびに1錠服用した(1日3錠まで)。なお、記者は161cm、体重54kg。BMIこそ21だが体脂肪率は30%を超える典型的な「軽量デブ」。
●1日目
「高カロリーといえば焼き肉」と、生ビールをガブ飲み、カルビ、タン塩、豚トロ、プルコギ、ビビンバ、ケジャン、焼きうどん、暴食の限りを尽くした。概算摂取カロリーは4000超。その晩の体重は1kg増の55.1kg。体脂肪は30.1%。就寝前からおなかがゴロゴロ。排便には至らない。
●2日目
朝のトイレで最初のお通じ。いつもより粘り気があり、練り歯磨きのような質感だ。体重はいきなり1.8kg減少、体脂肪も29.6%と下がり始めた。朝食はスイートポテトに、スイーツ取材で購入した有名店のカステラをペロリ。夜は、禁断のとんこつラーメン店へ。ビールと煮込み豆腐、焼き鳥を食べてから、つけ麺大盛りとギョーザ完食。夜半2回目のお通じ。便通の手応えが明らかにオイリーに。
●3日目
下腹の違和感を抱え目覚め、トイレに向かうと。便の中にラー油っぽい何かが大量に。流したあとも脂肪がべっとり……。体重は、初日の夜から2kg減の53.0kg、体脂肪も25.2%に激減。朝食兼昼食に天むすと唐揚げ。夕食は出前のカツ丼。夜中の2時にビールとチョコレートケーキ、ポテトチップスにチーズたっぷりのブリトーを食す。
●最終測定
4日目の朝、最終測定。前日より0.7kg増の53.7kg。体脂肪も29.6%に返り咲く。とはいえ、3日間の総摂取カロリーは9000超。30代女性基準値の3日分を4000キロカロリーも超えている。にもかかわらず体重・体脂肪も減少したのだ。
もちろん今回のような食生活は超不健康。前出・松村院長も「薬に頼ればいいや、という安易な考えでは健康になれません」とくぎを刺す。肥満治療薬は、どうにもメタボから抜けられない場合の「最後の手段」だ。