「欧米には『冷え』にあたる言葉がなく『日本人のとくに女性に多い症状』といわれることが多いようです。つまり『冷え』は日本人の“国民病”ともいえるもの。それなのに、誤った『冷え対策』をしている人が多いのです」
そう警鐘を鳴らすのは、冷え対策の第一人者・東京有明医療大学教授の川嶋朗先生。
「あらためて言うことでもありませんが、冷えは万病のもと。体が冷えると血流はドロドロになり、酸素や栄養素が運べなくなるほか、老廃物もたまりやすくなります。また、体内の酸素の働きも鈍るので、食事で得た栄養素の分解が滞るなど、新陳代謝や免疫力もガタ落ちに。遺伝子の修復や活性酸素の除去も滞るので、どんな病気が起きてもおかしくありません」
具体的には、コリや痛みなどの不快な症状から、お肌のくすみ、シワ、うつ、メタボ、不妊症、がんといった重篤な症状まで、冷えがもとで起こりやすくなる。そこで、川嶋先生が「冷えとりの新常識」を教えてくれた!
【1】「半身浴はよい」は間違い。ぬるめの全身浴を!
「全身浴のほうが体に水圧がかかるため、半身浴に比べて心臓に戻る血液が増え、当然、心臓から出ていく血液も増加。つまり、血の巡りはよくなるので、冷えをとりたいなら断然全身浴のほうが効果的」
【2】厚着をしすぎると、冷えがとれなくなる
「人は本来、寒さにさらされれば熱をつくろうとするため、冬のほうが夏より基礎代謝が高いもの。しかし、厚着ばかりではそうした体の機能が損なわれてしまいます。本当に熱をつくれない人はきちんと着こまないといけませんが、その際も、厚着をしすぎるとかいた汗が気化する際に体から熱を奪ってしまうので要注意」
【3】永久脱毛で毛がなくなると冷えやすくなる
「なんのために毛が生えているのかといえば、保温のため。永久脱毛は、毛皮をはいでしまうようなものです。逆に、体毛が濃すぎて気になる方は、体が冷えている証し。冷え対策をすれば、毛は自然と薄くなります」
【4】作り笑いでも、笑うと体が温まる
「笑いの抗ストレス作用が血行をよくして、免疫力をアップさせたり、ホルモンの働きをよくします。もちろん、心から笑うほうが抗ストレス効果は高く、血流も上がって冷えとり効果も高いのですが、作り笑いでもそれなりの効果はあります」
【5】カフェで頼むなら、コーヒーより紅茶
「コーヒーや緑茶に含まれるカフェインには交感神経を刺激し、体を冷やす作用があります。紅茶にもカフェインは含まれていますが、茶葉は発酵するほど、「温め系」の食材になるといわれています。ただし、たくさんとればカフェインが作用して、血管を収縮させるのでご注意を」
【6】痛み止めは体を冷やす
「痛み止めは血管を収縮させて体を冷やすことで、痛みを感じないようにしているだけです。本当につらいときに使用するのは構いませんが、漫然と服用し続けるのは冷えを加速しますので、よくありません」
冬の後半戦は、川嶋流冷えとり生活で、ぽかぽか女子を目指そう!