「ひと口に花粉症の飲み薬といっても、いくつかの種類があり、作用の仕組みが異なります。また内服薬は、血流に乗って全身に回るため、くしゃみや鼻水だけでなく、目や肌のかゆみなど体全体の症状を抑えることができますが、その分、副作用が出る場合も。それぞれの特徴を知ったうえで使うのが安心です」
そう語るのは、薬剤師であり、医療系の経営コンサルタントとしても活躍する深井良祐さん。いつも使っている薬は、本当に自分にとってベストなのだろうか?そこで、深井さんに花粉症の内服薬の特徴を教えてもらった。
【ポララミンなど】おもにくしゃみ・鼻水に効く薬
くしゃみ、鼻水の原因となる「ヒスタミン」をブロックする働きがあり、「第一世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれる。副作用として強い眠気、口の乾き、倦怠感がある。これまで子供から妊婦まで広く処方されてきた実績ある薬なので、妊娠中の人、授乳中の人でも比較的安心して使いことができる。
【アレロック、ザイザル、タリオン、アレグラなど】おもにくしゃみ・鼻水に効く薬
現在、花粉症患者にもっともふつうに処方されている薬で、「第二世代抗ヒスタミン薬」と呼ばれる。アレロック、ザイザルがもっとも作用が強く、タリオンが中程度、アレグラは弱め。しかし、アレグラは副作用の眠気が出にくく、日中、仕事に集中したい人などに人気が高い。
【セレスタミンなど】短期的に使う、作用の強い薬
ポララミンに、ステロイド剤「ベタメタゾン」を配合した薬。花粉症患者向けの内服薬の中では、もっとも効果が強いが、その分、副作用も大きい。長期間服用すると、体重の増加や血糖値の上昇、顔が丸くなる(ムーンフェイス)など、ステロイド剤特有の副作用が出る恐れがある。
【オノン、シングレア、キプレス、バイナスなど】おもに鼻づまりに効く薬
鼻づまりの原因となる「ロイコトリエン」や「トロンボキサンA2」をブロックする薬。抗ヒスタミン薬で鼻づまりの改善がみられない場合に併用して使われることも多い。飲み始めてから効果が実感できるまで時間がかかるので、シーズンの始まる2週間ほど前から服用を始めるといい。抗ヒスタミン薬と比べ、副作用の眠気はほぼない。
【小青竜湯など】漢方薬
風邪やアレルギー性鼻炎の鼻水に効くとされる小青竜湯は、花粉症患者に処方される漢方薬の代表。ただし、漢方薬は体質によって合う、合わないが分かれるため、効果の出方は個人差が大きい。西洋薬に比べて副作用は少なく、眠気の心配も少ない。
「誰にでも100%合う薬はありません。一度試したものの、効きが悪かったり、眠気が出やすいといった副作用を感じたりしたら、主治医と相談したうえで、ほかの薬に替える判断も必要です」(深井さん)