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「若年性認知症に関する相談件数が過去最多になったと、今春、若年性認知症コールセンターが発表しました。’15年の相談は2,240件で、’10年の2倍を超えています。若年性認知症とは65歳未満で発症する認知症で、脳卒中やアルツハイマー病など、さまざまな原因で起こります。患者は全国に約3万8,000人いるとみられ、発症するのは平均51歳。男性が多いといいます(’09年・厚生労働省)」

 

こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。働き盛り世代が病気になると治療費だけでなく、家族の生活費や子どもの教育費、住宅ローンなどもあり、経済的に困窮する人もいる。そこで、若年性認知症を発症した場合の経済的サポートについて、萩原さんが解説してくれた。

 

「まず、若年性認知症だと診断されたら『自立支援医療制度』の申請をしましょう。認定を受けると、通院治療費が1割負担になります。この制度は世帯収入や病状によって、月々の負担上限が1万円までなどと決まり、それ以上の支払いは免除されます。担当医にご相談を。ただ、自立支援医療でカバーされる医療費は、認知症に関する治療、しかも通院治療に限られます。入院や家族が病気になるなど、認知症患者を含む家族の医療費が高額になったら『高額療養費制度』を使いましょう」

 

「高額療養費制度」を使うと、一般的な収入の人なら月に100万円の治療を受けても、負担額は約9万円。高額医療費が3カ月続けば4カ月目からは負担上限が4万4,400円に下がる。

 

「次に、会社員の方が認知症になって会社を休むと『傷病手当金』が支給されます。最長で1年半、支給額は給料のおよそ3分の2です。また、傷病手当金の給付期間が終わっても『障害年金』が申請できます。障害の程度などで、年金額は変わります。認知症が進行すると、仕事を続けるのはむずかしくなるでしょう。発症前まで働いていた方の約79%が、自分から退職した、あるいは解雇されたというデータもあります(’15年・厚生労働省)。もし、仕事内容を変えても働きたいという希望があれば『障害者手帳』を取得するといいでしょう」

 

「障害者手帳」があれば、企業の障害者雇用枠で就職が可能だ。

 

「さらに、認知症の病状が進むと、介護が必要になります。『介護保険は高齢者しか使えない』と誤解されている方もいますが、患者が40歳以上なら『介護保険』が使えます。先のコールセンターの相談者にも、認知症だと診断されながら介護保険の申請をしていない方が約25%いました。要介護の認定を受ければ、介護サービスを1割負担で利用できます(世帯収入により2割負担の方も)。最近では、若年性認知症に特化したデイサービスなども増えてきました。受入れ態勢が整うと、家族も安心して働けると思います」

 

若年性認知症は、うつ病や更年期障害と似た症状があり、早期発見が遅れがち。気になる点があれば一人で抱え込まず、若年性認知症コールセンターなどで相談しよう。

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