image

 

「がんや糖尿病、心血管疾患などの病気は、ある日、突然かかるわけではありません。“種”が毎日少しずつ大きくなり、ある時点で病気として発症するのです。重要なことは、いかに病気になる前の“未病”の段階で、見つけて対処できるか。そのためには“健康セルフチェック”がカギになってきます」

 

そう語るのは、予防医療に力を入れている江の島弁天クリニックの松村浩道院長。健康セルフチェックとは、自分で健康を診断すること。しかし、そこには危険な落とし穴があるという。

 

「健康セルフチェックとして、病気の予兆や自覚症状を自分でチェックするものがあります。たとえば糖尿病では“喉が渇く”“急激に太った”などの項目がある。しかし、それらの項目に該当しないからといって『私は大丈夫』と安心してしまうのが危険です。“未病”のまま放置してしまい、大きな病気が発症することに、つながりかねません」(松村先生)

 

評価や感じ方は人それぞれであることが、ときとして大きな問題を生むのだそう。では“自分で健康診断”する場合、どのようなことが求められるのだろう?

 

「日ごろから意識的に自分の五感をフル活用して、病気の気配をしっかり見逃さないようにすることが、大切なのです」

 

そこで、松村先生に、毎日、簡単にできる“自分で健康診断”する方法を伝授してもらった。

 

【体重】日々の増減をグラフにしてメタボ予防を

 

「体重増加は、不調のサイン。糖尿病、高血圧、脂質異常症、心臓疾患などは、すべて肥満がリスクとなります。また40代で、20歳前後から10キロ以上増加している場合、高血圧や高血糖になっている可能性も。体重を毎日チェックしておくことは、健康を維持するうえで大切な習慣なのです」

 

とくに40歳を過ぎると、女性ホルモン低下の影響で代謝が落ち、太りやすい体質になる人も多い。若いころと同じ量しか食べていないのに、いつの間にか、メタボになってしまうことも……。

 

「毎日、決まった時間に体重計に乗ることが大事です。最近の体重計には体脂肪率が測れるものもあります。体重や体脂肪率をグラフにし、増加しているようであれば、運動をしたり、バランスのいい食生活を考えたりして、生活習慣を見直したほうがいいでしょう」

 

【体温】毎朝起きたら検温を。36度未満なら免疫力低下

 

「体温は免疫力と密接に関わっています。体温が1度下がると免疫力は30%ほど低下し、逆に1度上がると、免疫力が50〜60%も向上するともいわれています。実際、がん患者さんを含めて、免疫力が低下している人は、体温が36度未満の低体温であることが多いのです」

 

低体温は体が発するSOSのサイン。免疫力が低下すると、かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるばかりでなく、がんの発症リスクを上げてしまうことにもつながる。

 

「朝起きたらすぐに布団のなかで体温を測ることを習慣にしましょう。体温が36度未満なら、免疫力低下の注意サイン。不規則な生活やストレス、運動不足などが低体温の要因となるので、それを取り除くための対応策が必要です」

 

【便】便の硬さや形状で腸内環境をチェック

 

「腸は健康のバロメーターです。とくに腸内に生息している善玉菌、悪玉菌、日和見菌などの細菌で構成される腸内環境は、生活習慣やストレスによって大きく変化します。悪玉菌が増え、腸内環境が悪化した状態が続くと、アレルギーや心血管疾患、糖尿病、高血圧、動脈硬化を誘発し、さらに大腸がん、肝臓がんなどの原因となる発がん物質を作り出したりします。腸内の状態が悪化している“サイン”となるのが、便秘と下痢。便の形状や色、硬さなどを、毎回しっかり確認しておくことが重要です」

関連カテゴリー: