「体がだるくて朝起きられない、日々の頭痛……これらの症状は、栄養不足で引き起こされているケースが多いんです。自分に足りていない栄養を体にしっかり取り込めば、症状を改善できる可能性があります。そうやって、薬を使わずに“栄養摂取”で病気を治そうとする治療法を、オーソモレキュラーといいます」
そう語るのは、日本初の栄養治療法専門クリニックの院長・溝口徹先生。『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』(光文社新書)を3月に出版したばかりだ。
「現代医療における、“栄養面での視点”の欠落」を問題視し、欧米を中心に発展してきたという「オーソモレキュラー療法」は、いま世界のお金持ちがこぞって実践しているという。
「食事療法とサプリメントを併用することで、病気にならない体を作ることが目的。疲れやうつ、アレルギー、更年期障害、がん予防などに効果があるといわれ、ほかにも妊活中の女性や、睡眠障害のある方、アトピー肌に悩む人などなど、クリニックに訪れる人はさまざまです」(溝口先生・以下同)
サプリを用いる理由は、バランスのいい食事を心掛けているつもりでも、十分な栄養が足りているとは限らないからなのだとか。そこで溝口先生に、最先端の栄養療法に基づいた食事のルールを教えてもらった。
■食事は「肉から先」に食べる!
「オーソモレキュラーでは、炭水化物や糖質を減らし、代わりに肉や魚からタンパク質をたっぷりとります」
ざっくり言ってしまえば、「炭水化物はとらなくてもいい」というのがオーソモレキュラーの考え方。溝口先生に、オーソモレキュラー療法に基づいた理想的な食事を教えてもらうと、朝「お味噌汁、納豆、卵、ソーセージやベーコン、サラダ、くだもの」、昼「ハンバーグ(ライス、パン抜き、付け合わせの芋抜き)、野菜たっぷりスープ」、夜「ステーキ(豚肉とキャベツともやし炒め)、アボカド+野菜」。毎食お肉がメーン!
「肉は良質なタンパク源ですから、食事では何よりも先に食べる“肉ファースト”で食べましょう。野菜から先に食べ、血糖値を上げにくくする“ベジファースト” という考え方がありますが、実は食事の前半に油をとっても、それと同じように血糖値を抑える働きがあります。ですから、できるだけ脂身のついた肉を食べるといいですね」
でも、1日3食お肉だと、心配なのは家計。お金持ちが実践しているというのもうなずける……。
「牛肉は高いかもしれませんが、安く手に入る鶏肉や、豚バラ肉ともやしなどの野菜を炒めるだけでもいいんです。ただし、ハムやソーセージなど肉の加工品は、添加物が多く入っているので、毎日使うのはやめましょう」
■「野菜代わりにスムージー」はNG!
野菜よりタンパク質を重視するオーソモレキュラー。「たまには野菜をとらないと」と、スムージーなどで代替することに溝口先生は反対する。
「野菜をとりたければ、食事のときに食べること。スムージーの場合、野菜だけでなく、甘味付けにはちみつやくだものをプラスして一気に飲みますよね。より短時間で吸収するので、血糖値がバーンと一気に上がるため最悪です。ちなみに、飲み物で栄養を摂取する必要はありません。お水で十分です」
■コレステロールばかり気にしすぎない
溝口先生が教えてくれたメニューを見てみると、卵や脂の多い肉といった、コレステロール値が高い食材が多いような気が……。
「コレステロールは、女性ホルモンの大切な材料で、低すぎると更年期障害や骨粗しょう症の原因に。年代とともに数値が上がるのは、女性ホルモンを増やすための体のしくみだと考えられます。適正値を保つ必要はありますが、コレステロール値が低すぎるのも危険です」