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《動物の処分1匹につき78円。動物の命の価値がたったの78円でしかないように思えて胸が張りさけそうになった。そして、とても怖くなった。》

 

これは’12年、当時、小学6年生だった谷山千華さんが書いた作文「78円の命」の一文。かわいがっていた近所のノラねこをきっかけに、動物の殺処分について初めて知り、悲しんだ。そして−−。

 

《生き物を飼うということは1つの命にきちんと責任を持つことだ。おもちゃのように捨ててはいけない。だから、ちゃんと最期まで育ててやれるという自信がなければ飼ってはいけない事を学んだ。》

 

谷山さんの作文は、愛知県豊橋市の「話し方大会」で最優秀作品に選ばれ、同市の道徳授業でも扱われるように。昨年7月に無料マンガアプリ『comico』にて同作がマンガ化され、それを読んだことをきっかけに有志のクリエーターが集まり「78円の命プロジェクト」が発足した。メンバーの1人である戸塚真琴さんは、その経緯をこう語る。

 

「私はライターをやっているので、殺処分ゼロに向けてご協力できることがないかと思い、谷山さんとつながりのある地域ねこ団体の方にご連絡をしたところ、同じようにカメラマンのKay Nさん、アートディレクターの新村夏絵さんもご連絡していたようで、すぐに3人で会うことになり、昨年の秋にはプロジェクトが動きだしました」

 

絵本の制作資金のため、4月にクラウドファンディングを実施したところ5日間で目標金額の100万円を達成。絵本制作が決定し、6月末に発売されることに。

 

「1冊、税込み78円で販売させていただく予定です」(戸塚さん)

 

1人の小学生の作文がつなぐ「動物殺処分ゼロ」への思い。まだまだ広がっていくことだろう。

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