脳神経外科医が語る「認知症予防に効く「朝日記」脳トレ」

「男性と比べて、女性はボケにくい環境にあるんですよ。まず、近所付き合いなどで、不特定多数の人たちと会話をします。そして、化粧をするために手を動かします。これらすべて、脳を活性化させるのに効果的。もともと女性の場合、日常的に外で人に見られることを意識しているので、脳に刺激を与える機会が男性よりも多いのです」


そう語るのは、脳神経外科医として1日70〜80人の患者を診察している『北原ライフサポートクリニック』菅原道仁院長。高齢化に伴い、わが国の認知症患者は増加の一途をたどっている。さらに近年では、40〜50代で発症する『若年性認知症』も増加傾向といわれており、もはや認知症は老後の問題とはいえなくなってきているのだ。

そのなかでも、とくに多いのが『アルツハイマー型』と呼ばれる認知症。脳が萎縮し、知能や身体機能が低下するもので、現在のところ、効果的な薬も治療法もない状況だ。将来の認知症を予防するためには、脳の活性化が重要だと菅原院長は話す。

「とくに男性の場合、定年後に何かやろうとしても、思考が固定化されている人が多いんです。そうすると、パターン化された生活を繰り返すだけとなり、脳に刺激を与える機会がどんどん減ります。脳を活性化しないと、能力は衰えていきます。その最たるものが『思い出す力』なんです」

携帯電話がなかった時代、多くの人は、必要な電話番号くらいは暗記していたはず。ところが、今は簡単に検索できるので覚えようとしなくなってしまった。使わない力はどんどん落ちていくのだ。菅原先生は「思い出す力」を鍛えるためのトレーニングとして、「朝日記」をすすめている。

「毎朝、昨日のことを思い出しながら書く日記です。いわば、『思い出す力』をテストするようなもの。たとえば、前の日に見たニュースは何があったか、ドラマの内容はどんなものだったか、ジャンルは何でもいいんです。また、別に文章にする必要もありません。朝、食べたものを絵に描いてみて色合いを思い出したり、手帳に箇条書き程度のことを書いたりするだけでもいいんです」

 

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