内閣府が今年6月に発表した2012年版『子ども・子育て白書』によると、50歳までに1度も結婚したことのない「生涯未婚率」が上昇を続け、男性は約5人に1人(20.14%)、女性は約10人に1人(10.61%)と、過去最高となった。
75万部を売り上げたベストセラー『おひとりさまの老後』の著者で社会学者の上野千鶴子さんは、自らも「おひとりさま」を貫く現代の未婚女性の大先輩だが、女性の未婚率記録更新が続く現状をこう分析している。
「女性にとって、結婚はもはや『生活必需品』ではなく『嗜好品』になってしまったんです」
女性たちが結婚しなくなった理由として、一般的に挙げられるのは次の2つ。「働く女性が増え、男性を頼る必要がなくなった」、「”女は結婚して子供を産むべき”という価値観が変わってきた」というもの。さらに上野さんはもう一つの原因をこう語る。
「ひと昔前までは『未婚の女性=処女』が当然でした。でも今は、結婚前の性交渉が当たり前になり、独身でもセックスライフを送れるようになった。実は、これは未婚者が増える大きな理由になっています」
こうなると、結婚に踏み切る理由は『子供を産む』ことだけ。親元で衣食住に困らず、それなりに充実した生活を送っていれば、わざわざ結婚する気になれないのもごもっとも。しかし、守られた暮らしはいつまでも続くわけではない。上野さんは、こう警鐘をならす。
「親の介護が必要になったとき、まっさきに介護要因となるのは彼女たち。そして、ようやく親を看取ったあとに残るのは、十分な年金ももらえず、生活に行き詰まった初老の女性。自分を介護してくれる家族はいない。これが最悪のシナリオです」
ならばやはり、老後に頼れるのは我が子なのでは?と思う人も多いはず。だが上野さんは「自分が親を背負えるかと考えれば、答えはおのずと出るはず」とバッサリ。
「子供に老後を頼るのは子だくさんの時代の話。もはや”神話”です。今は結婚して家族がいる女性も、子供が独立し、夫に先立たれてしまえば、みなシングルに戻ります。『おひとりさま』同士で、助け合って老いていきましょう」