「最近のお葬式の傾向は、『小型化』、『個性化』、『低価格化』などがあげられます。社会や人々の志向の変化で、近親者で故人を送りたい方が増え、故人らしさを重視するいわゆる”DIYお葬式”も多く見られるようになりました」

そう語るのは葬儀ビジネスコンサルタントでアルック代表の吉川美津子さん。吉川さんによると、いまの新しい流れとして、故人の個性を生かしながら自分で作り上げる手作りのお葬式が、かなり見られるようになってきたという。いったいどんなお葬式なのか?

2年前に骨折がもとで入退院を繰り返していた母親が、半年前に他界した中村雄太(埼玉県・自営・50)さん。そのときに行った葬儀は、母親を偲ぶためにも『葬儀のほとんどを手作りしたい』という思いが込められたものだった。

「棺、祭壇からろうそくに至るまでほとんどを自作し、購入し、手配しました。夫婦で母への思いをカタチにしたかったんです。葬儀は死亡から1週間後に。棺、祭壇はホームセンターで材木とペンキを買い込み、徹夜で完成させ、野の花の絵も入れました。生花は母が庭で育てていたコスモスとユリの花を飾り、足りない分は生花店に妻が手配しました」(中村さん)

このほかに枕飾りの経机も作り、そこへ飾る燭台、香炉、鈴もすべて自分たちで揃えた。遺影写真はパソコンで四つ切りサイズにし、背景も差し替え、やさしい雰囲気に仕上げた。搬送車は市役所から紹介してもらったそうだ。葬儀費用は合計19万1千円(※除く火葬代)。

また、最近は公的なサービスの市民葬・区民葬を利用する人も増えている。宮田加奈子さん(東京都・パート・48)もその1人。父親の葬儀を区民葬で終えた。

「父が住んでいた地域の区民葬では、葬祭料金、遺骨収納容器代、霊柩運送料金がセット(各項目ともランクごとに選べる)になっていました。ちなみに、区民葬は一般の葬儀と同じように、代行の葬儀社が執り行いますので、担当さんと十分、相談するのがいいと思います。今回はセット以外のものは、実は区民葬を扱う別の業者さんに相談し、各社に見積もりを取って安くお願いしました」(宮田さん)

葬祭では、白布2段飾りの格安タイプだったが、簡素ながらも厳かな式ができたと宮田さんは話している。葬儀費用は合計28万2千円。

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