11月1日の衆院本会議の答弁中「困難をともなうこと、こと、こと……」と、ろれつが回らなくなり、自ら右頬を平手でたたいていた姿も記憶に新しい野田佳彦首相。翌2日の参院本会議の答弁でも、同じように言葉につかえ、頬をたたいていた。その後の記者会見では、「疲れではない、アナウンサーではないから(ろれつが回らなくなることも)たまにある」と強調したが……。
「一般的に、疲れがたまっているときにろれつが回らないことがよくあります。ただ脳梗塞の予兆などのサインである可能性も否定できません。言葉が出なくなる、ろれつが回らない、左右どちらかの体や手足がしびれて動かせないなどの軽い症状が出て、10分以内におさまったとしても、3割の人が3年以内に大きな脳梗塞の発作を起こすというデータがあります」
そう話すのは最新著の『「病院に行くほどではない」と放っておくと大変なことになる!』(扶桑社刊)が話題の森田豊先生(医療ジャーナリスト/医学博士)。それらの症状は、まさに大病を知らせるサインなのだ。
「一種の体のアラームですね。ただそれがどんな病気のサインなのか知らないと、アラームはちょこっとした体の不調なので見逃してしまう。そこが危ないんです」と語る森田先生が、なかでも病気のサインとして注意するのが『胸やけがして気持ちが悪い』『風邪ではないのに、せきがよく出る』というものだ。
「食べすぎて胸やけがすることはよくあるので見逃しがちですが、逆流性食道炎の可能性があります。原因は脂肪の多い食生活です。胃液が過剰に分泌され、それが逆流して食道を荒らしてしまう病気。怖いのは逆流した胃液が長時間、食道内にとどまると食道粘膜が胃粘膜に似た細胞に変化し、食道がんのリスクが高まることです」
欧米では食道がんの約半数が、この胃粘膜のように変異した食道粘膜から発生するといわれているほどだ。
「逆流性食道炎は胃液が気管も刺激するために、胸やけだけでなく、せきが続くというサインもあります。こうした症状が出たら、食べすぎやせきくらいと軽く見ずに、いちど検査をしてもらうと安心です」