「本は書店で買ってこそ、愛着が湧くもの。どんな書店で買ったのか、誰と一緒だったのか、なぜその本を選んだのか−−本とともにそうした思い出が残ると、本そのものの価値が上がると思うんです」
こう語るのは、書店を舞台にした人間ドラマを描く「書店ガール」シリーズ著者の碧野圭さん。同作は、『戦う!書店ガール』(関西テレビ・フジテレビ系、4月14日スタート)としてドラマ化され、注目を集めている。実際に130店舗以上の書店を取材したという碧野さんに、とくに印象に残っている書店を聞いた。
「まずは、愛知県名古屋市の『七五書店』。この店は、品ぞろえにすごくこだわりがあるんです。出版界では日々、膨大な量の新刊が発行されていますが、店長の熊谷さんは毎日2時間かけ、本の卸売業者のリストをチェックし、気になる本は内容を調べたうえで注文しています。選びぬかれた本が並ぶ、全国的にもレベルの高い書店ではないでしょうか」
次に挙げるのが、岩手県盛岡市の「さわや書店フェザン店」。
「お店に入って驚くのが、まずPOPの多さ。そして、そこにぎっしりと書かれた推薦分。とにかく書店員の情熱が伝わってくる内容です」
映画化され大ヒットとなった『永遠の0』も、もとは同店のPOPから火がついた。
「ネットと違い、書店には思いがけぬ本との出合いがあります。本当は別の本を買いにいったのに、隣にある本が気になって買ってしまったり。そんな体験もまた、本の楽しさの一つだと思っています」