「皆さんは、『こうでなければいけない』という固定観念を持ちすぎてはいませんか?たとえば『血圧は何歳ならこの数値以下』『体脂肪は◯%以下でないといけない』とか。平均値よりも高い人でも健康な人はたくさんいます。でも、そういう固定観念があれば、人間は不安になります。それを『すべての人間が同じではない。自分はこれでいいのだ』と、考えるようになれば楽になれますよ」(森久寿隆住職)
いま、関東に住む40〜60代の女性たちの心をわしづかみにする注目の説法がある。毎月1回、都内のお香専門店内の会議室で開催される、笑いあり、涙ありの通称“泣き笑いヒーリング説法”だ。毎月参加している60代の女性は、次のように語る。
「毎月参加するようになってから10年以上になります。60歳を過ぎると、親や夫の介護、自分自身の将来の不安など、生活するうえでの悩みや苦しみがいろいろあります。そういうときにご住職のお話を聞くことで心が癒され、安らぎます。そして、ふと自分が見失っていたことにも気づかされ、涙することもあるんですよ」
説法を主催しているのは、静岡県伊豆市にある本成寺の森久寿隆住職(60)。’99年に本成寺の住職となって以来、伊豆と東京をメインに、全国各地で癒しのヒーリング説法を“無償”で行っている。
「坊主になってから、見返りを求めないことをしなければいけないと思ったからです。『これをやれば、これだけのものを得られる』では、ビジネスになってしまう。そうならないために、こちらが勝手に提供するだけでいいと思ったのがこの説法なのです」
このような地道な活動は徐々に口コミで知れ渡り、現在では、伊豆市内の公立中学校4校で、毎週「道徳」の授業を任されるまでに。今回はそんな森久住職から、“くよくよ悩まず、人生を楽に生きるヒント”をアドバイスしてもらった。
【自己否定ではなく、あなた自身の本質と向き合って!】
「人はみんな光った玉を持っています。しかしその玉の周りに欲や自我といったこだわりを重ねて包んでいるのです。それを剥ぎ取れば、あなた自身が持っている光り輝く奇麗な玉が見えてくるはずです。つまり、『本質は光っているのだから、皮を剥ぐだけでいい』という考えです。だから、自信を喪失することはないということです」
【自分の立ち位置を見極め、自分自身を見失わないで!】
「いま本当に苦しい状況にある人は、無理やりそこから逃れようと、もがき、暴れないことです。七転八倒しても何も変わりません。ではどうすべきか?まず自分の立ち位置と自分の正体を見つけてください。これまで生きてきた人生のなかで、自分にとって正しかったことは何だったか。それを一つ一つ紙に書き出してみるのです。そうすると、いまのあなたの立ち位置が見えてきます。そこから過去を振り返って反省。次にその先の計画を立てていく。そうすると自分自身を見失わず、苦しい状況に陥っても冷静に物事に向き合えると思います」
【まっすぐにぶつかって失敗したほうが成長する!】
「どんな物事に対しても、まずは正面からまっすぐにぶつかってみることです。いまは失敗を恐れ、ぶつかる前に結果を予測しながら、小手先でやろうとする人たちが多いですね。情報をやたらと集めるのですが、結局、集めすぎて分析ができない。悩むぐらいなら、自分の感覚を信じてまっすぐにぶつかってみるほうがいい。失敗すれば何度でもトライすればいいのですから」
森久住職によると“悪いことは、よくなることへの過程”だという。たとえ壁にぶつかっても、自分自身を見失わないこと。これが生きるうえでいちばん大切なことなのだ。