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「ここ10年で葬儀の仕方にも大きな変化が表れてきましたね。身内だけで葬儀をするなど、簡略化が進み、かつ多様化してきています。これは、正社員が減って、企業が参列に参加しなくなり、香典の額が下がり、費用的に厳しくなったことも一因です」

 

そう話すのは、日本における地域の葬儀の違いを考察した『葬式格差』(幻冬舎新書)の著者・島田裕巳さん。葬儀に関するサービスを行っている「鎌倉新書」の’17年の調査によると、葬儀費用は全国平均で約178万2,000円だったという。葬儀に200万円近くかかってしまうというわけだ。とはいえ、同調査では、’15年は約183万9,000円、’13年は約202万9,000円だった。葬儀にかかる費用は低くなっているようだ。

 

葬儀の後は、火葬すると法律で決まっているが、問題はその後の遺骨についてだ。金銭面や後継者問題などでお墓を持てない人が増えている。格安で済ませる方法はないだろうか。

 

そんな場合には「本寿院」(東京都大田区)で行われている「送骨・お骨仏」という方法がある。申し込みをすると、「送骨セット」が代引きで送られてくるので、それにお骨を詰めて郵送し、仏様にしてもらうもの。送骨セットの郵送代や送骨代は地域などにより多少前後するが、全部で約3万3,000円で済むというものだ。

 

「本来、お骨はご持参されるものですが、ご高齢により、骨が大きくて運べない、車がないなどの声が多くなり、’10年に送骨を始めました。送られてきた骨は、現在は本堂の仏様の胎内に納骨します。毎日9~18時の間でしたら、いつでも予約なくお参りしていただけます」(住職・三浦尊明さん)

 

お寺に毎日読経もしてもらえるため、遠方などでなかなかお墓参りに行けない人も安心だ。こちらでは、ネットのフォームに生前の人柄などを書き込んで送れば「戒名証」が遺族に送付されるサービスも。戒名といえば高いイメージがあるが、なんと。一律3万円というから驚きだ。

 

また、聖徳太子が建立した由緒正しきお寺である「四天王寺」(大阪府大阪市)では、宗派を問わずに、合同墓を行っている。遺骨は納骨堂で仮安置し、年に3回「納骨総祭法要」で供養をし、供養塔の下へ納骨される。その納骨のための、回向料として1万円以上。個別に回向の場合は3万円以上。ただし……。

 

「基本的にはお墓に納骨をしていただきたいんです。墓じまいをされる方などの、受け皿が四天王寺であればと思っています」(同寺・瀧藤康教さん)

 

新しい供養のかたちが、「かねみつ石匠」(岡山県笠岡市)の「自宅墓」。骨壺を石棺に入れて自宅で保管するというものだ。霊園にお墓を構えると、墓地の永代使用料や管理費など費用がかさむ。自宅墓があれば、いつでも供養でき、使用料や管理費を払う必要はないという。骨壺の大きさによって値段も変わってくるが、4寸の骨壺が入るいちばん小さいSだと10万5,000円(税込み)だ。

 

「霊園にお墓を建てるよりもぐっと安く上がるのはもちろんですが、『いつでも故人に話しかけられる』と話題になり、年々反響が大きくなっています。お墓の掃除をしなくていい、遠くに行く必要がない、亡くなった人との絆が強く感じられるなど、うれしい声も寄せられています」(同社・岡増正治さん)

 

工夫をしたのは重さとか。

 

「素材は重い石材なので、軽くなるように心がけました。Mサイズ(21万円)で35キロぐらいです」(岡増さん)

 

4つに分割でき、いちばん重い部分でも15キロぐらいで済む。そのため70代の女性でも、持ち運びが可能だという。忙しい現代人にとっては、わざわざ外出する必要がなく、便利な供養の形かもしれない。

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