「実は年収が少ない人ほど、夫の没後の保障は必要です。“高い保険料なんて払えない”と思う人も多いでしょうが、賢い保険の入り方をすれば、最小限の保険料で、最大限の保障を受けられるんです」
こう語るのは、ファイナンシャルプランナーの飯村久美さん。多くの家計相談にのるなか、生命保険に関しては、「勧められるままに保険に加入して、夫や自分の病気やケガ、死亡時にどんな保障を受けられるかわからない人も多い」という。
3年に1度調査が行われる「生命保険に関する全国実態調査(平成27年度/3年に1度調査)」(生活保険文化センター調べ)によると、生命保険に加入している人は、年間38万5,400円の保険料を払っている。
「生命保険には、医療保険、介護保険、そして死亡保険などがあり、国民の約9割の人が、いずれかの生命保険に加入しているといわれています。月に換算すると、1世帯あたり、3万2,000円も払っていることに。この平均保険料は、貯蓄型の保険も含まれますが、私は高すぎだと考えています」(飯村さん・以下同)
毎月高額の保険料を払っているにもかかわらず、同調査で7割の保険加入者が“将来に漠然とした不安を抱えている”と回答した。では、夫の没後、安心して暮らすには、どれだけの保障が必要なのだろうか。万が一のときに必要なお金を計算してみよう。
「子どもの教育費は1人、1,200万円を用意しておくと安心です。そして生活費。夫の没後は、それまでの生活費の約7割×12カ月で1年間の生活費が計算できます」
子どもがいない、あるいはすでに独り立ちしている場合は、5割×平均寿命と自分の年齢差で必要額を計算しよう。
「“万が一”のために備える保険は、“少ないお金で、必要な額の保障に”を心がけてください。万が一とは、文字どおり『1万分の1』のこと。残りの『1万分の9999』は、日常の暮らしのことなんです。万が一のために、日常に必要な家計を圧迫するほどの保険料を支払う必要はありません」
子どもの教育費、そして毎月の暮らしと老後への備え――。飯村さんにおすすめの保険を教えてもらった。
「今は金利も低いので、これから加入を考えているなら、『終身保険』への加入はおすすめしません。『定期保険』と『収入保障保険』への加入がよいと思います」
■子どもの教育費に充てたい「定期保険」
「1人1,000万~1,200万円かかるといわれる子どもの教育費は、『定期保険』で準備しましょう。これは少ない保険料で、保険期間と保険金額を選べる掛け捨て型の保険です。保険料も定期保険なら、45歳で加入した場合月3,500~4,000円です」
たとえば、死亡保障に特化したオリックス生命「定期保険ブリッジ」、アクサダイレクト生命「定期保険2」、業界最安値基準のライフネット生命「かぞくへの保険」が人気商品だ。
■暮らしを支えるのは「収入保障保険」
「次に、毎月の暮らしと老後の備えには、毎月、給与のように年金が受け取れる『収入保障保険』がおすすめです」
チューリッヒ生命「収入保障保険プレミアム」は、過去1年以内に喫煙がなく、血圧も所定の基準を満たせば、保険料が割引になる。オリックス生命「家族をささえる保険キープ」は、重い障害状態に該当したとき、以後の保険料の支払いは免除され、そのまま保障が継続するという。
「もし30歳でこの保険に加入し、払込み期間を60歳満了、夫の没後に月10万円の年金の保障とした場合、(1)契約から1カ月後に夫が死亡したときは満期までの残り30年間、月10万円、計3,600万円を受け取れます。(2)40歳で亡くなったときには、20年、月10万円、総額2,400万円受け取れるという保険です」
収入保障保険の保険料も月3,000円台。必要な保障と無駄のない少額の保険料で、理にかなった保険といえる。