画像を見る

「全国で約3,000万人の腰痛持ちがいるとされ、国民病ともいわれる腰痛。その解消には正しい知識を持つことが重要です」

 

そう語るのは、東京大学医学部附属病院特任教授の松平浩先生。多くの人を悩ませる腰痛。だが、誤った知識を持っている人がまだ多いという。そこで、松平先生に腰痛の最新常識について聞いた。

 

腰痛になると、ひとまず安静にしようとする人が多いが……。

 

「腰痛持ちの人にとって“安静第一”は百害あって一利なし。急性の非特異的腰痛であるぎっくり腰でも、欧米の多くのガイドラインでは“3日以上安静を指示すべきではない”とされています。鎮痛剤を投与しながら,可能な範囲で動いたほうが、スムーズな回復が望めるのです。また、痛いからといってすぐに横になったり、運動を回避したりしていると肥満になり、腰痛が悪化する負のスパイラルに陥ることも。よい姿勢での速歩きや水泳など有酸素運動をする活動的な生活をしたほうが、腰痛持ちから脱却する近道です」(松平先生・以下同)

 

腰痛の治療や予防法にも、新常識があるという。

 

「椎間板の中心にある髄核が飛び出す『椎間板ヘルニア』の痛みの実態は、髄核が飛び出したことで起きる炎症による場合が多く、実は数カ月でよくなることも少なくない。つらい坐骨神経痛をともなう大きなヘルニアほど、自然治癒する可能性が高いので、心配しすぎずに過ごすことが肝心です。また、腰痛を予防するためにコルセット(腰痛ベルト)をつけている人も多いと思いますが、最近の研究では、骨盤の上部端のあたりにある側腹部の筋肉と、深部の筋肉の弱体化を招くことが報告されています。長期間のコルセットは、血行不全や痛覚過敏に加え、体幹を弱めるので注意が必要です」

 

あらたな常識を踏まえて、腰痛を解消していきたいもの。松平先生によると、日常生活のなかで積み重なった“腰痛借金”の返済が解消の近道だという。

 

「“腰痛借金”とは猫背など、前かがみ姿勢になることで椎間板にかかる負荷のことです。パソコンやスマホの普及で、現代人は背中をまるめて前かがみになりがち。それだけで、ウエストラインの椎間板には重さ200キロの負荷がかかり、その負荷が借金のように積み重なるとぎっくり腰やヘルニアを引き起こしやすくなります。この“腰痛借金”の返済には、腰痛を過剰に恐れず、適度に猫背をリセットするように腰を動かして、血流をよくすることが大切なんです。そのために効果的なのが、『これだけ体操』です」

 

松平先生が考案した『これだけ体操』を日常生活のなかに取り入れると、コツコツと借金を返済することができるそう。

 

【これだけ体操】

 

1)足を肩幅よりやや広めに開き、膝をできるだけ伸ばし、リラックスして立つ。
2)両手をお尻に当て(骨盤を手で押し込むイメージで)、指を下向きにそろえる。
3)あごをひき、フーッと息を吐きながら、「イタ気持ちいい」と感じるところまで上体をゆっくり反らす。この姿勢を3秒キープしたら、ゆっくり元に戻す。「予防の場合」は3秒キープを1~2回。「治療の場合」は3秒キープ10回。

※体操によって、太ももより下に痛みが出るときは脊柱管狭窄症などの可能性があるので、中止して医師の診察を受けてください。

 

「前かがみになる姿勢が続いたときは、意識してすぐに『これだけ体操』をするようにしましょう。『腰を動かすのが怖い』→『あれ。多少痛いけど動かせた』→『腰を動かしても大丈夫だ』という流れで、自然と自分のなかの恐怖心を取り除くことに役立ちます」

 

腰は体の要。『これだけ体操』で腰痛借金を返そう!

【関連画像】

関連カテゴリー:
関連タグ: