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「最近、日本で急増しているのが肺MAC症という病気です。これは進行するとせきや血痰が出る病気で、年間1,000人の人が亡くなっています。原因となる肺MAC菌は家庭の浴室にも生息しているのですが、浴室の間違った掃除法によって、この菌を繁殖させてしまうケースが少なくないんです」

 

こう警鐘を鳴らすのは、日本ヘルスケアクリーニング協会代表の松本忠男さん。松本さんはダスキンヘルスケア、亀田総合病院グループなどの清掃管理者として長らく従事。科学的観点から清掃の指導をする第一人者だ。先日出版した『図解 健康になりたければ家の掃除を変えなさい』(扶桑社)が話題になっている。そんな“掃除のスペシャリスト”の松本さんによれば、浴室以外にも多くの人がやりがちなNG掃除法があるという。

 

「いままで常識とされてきた家の掃除の仕方の数々に、かえって病気の原因を呼び寄せてしまう危険が潜んでいるのです」(松本さん・以下同)

 

家庭で気をつけなければいけない病原体は大別して2つ。1つは空気中を漂うホコリに含まれるダニやカビなどの「のど痛病原体」、もう1つがキッチン、浴室やトイレなどに多い大腸菌や黄色ブドウ球菌などの「はら痛病原体」。NG掃除法はこれらの菌による健康被害のリスクを高めてしまうというのだ。

 

「近年のマンションや戸建て住宅は、気密性がひと昔前に比べ格段によくなりました。また、掃除で使う道具なども、昔はなかったものが登場しています。こうした環境の変化も、多くの人たちがよしとしている掃除法が通用しなくなっている理由です」

 

松本さんが指摘する代表的なリビングでの「NG掃除法」は次の4項目。

 

【1】掃除中は窓を開ける

 

窓を開けて掃除をすると外の土壌菌などを家に招き入れてしまう。

 

「学校でも『掃除のときは窓を開けましょう』と習いますが、これはいけません。じつは、外気は土壌菌やホコリを多く含み、室内の空気より汚いことが多いのです。掃除中に窓を開けるのは、病原体をわざわざ家に呼び寄せているようなもの」

 

【2】じゅうたんは力をこめて掃除機をかける

 

じゅうたんに掃除機をかけるときは、ダニ・ホコリを残さないようにと吸い込み口を力強く押し付けている人も多いだろう。掃除機をじゅうたんに押し付けると毛が寝てしまい、奥に潜むダニなどを吸い込めない。

 

「じゅうたんの奥のほうに潜むダニを残さないためには、軽くかけるのがコツです」

 

【3】フローリングワイパーを前後に動かしてホコリを取る

 

ワイパーは前後に動かしてもホコリが散らばるだけ。

 

【4】ぬらした雑巾で床を拭く

 

床の水拭きは汚れをこすりつけているだけで効果なし。

 

「ぬれた雑巾で拭いても、汚れを広範囲に延ばすだけで、肝心の病原体を含むホコリを取り除くことはできません。乾いたマイクロファイバークロスなどで拭き取るほうが、ホコリをくまなく取ることができます」

 

4項目は、いずれもアレルギー性気管支肺アスペルギルス症などの原因に。部屋をきれいにしようと思って行っていた“掃除の基本”が、じつは病気の原因になることが! 年末にかけて掃除の意識も高くなるこの季節、一度自分の習慣を見直してみて。

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