「本来、冬は基礎代謝が上がる季節です。これは、寒さから身を守るべく体を震えさせることで、エネルギー(熱)を消費するため。しかし、そのぶん体は“省エネモード”になるうえ、よりいっそうエネルギーを摂取しようとするため、結果として、いつも以上に太りやすい季節になるのです」
そう語るのは、医学博士の福田千晶先生。つまり、冬は本能レベルで太る時期。福田先生によれば、“冬デブ”人口が昔より増えたかは定かでないものの、「太り方が顕著になったと感じられる」そう。誰しも一度は年末年始で2~3キロ太った経験はありそうだが、最近では1週間の正月休みで、10キロ近く太ってしまった、というケースもあるのだとか!
「また、人は体重が増えるとそれを維持しようとして、以前より食欲が増してしまうという困った本能もあります。体は2~3キロ増えただけでも動きにくくなります。冬デブを放置すると春になっても体が重く、運動量は減るいっぽうで、さらに食べるという悪循環に陥ります。早めに対処しないと、どんどん太り続ける恐れがあるのです!」
こうした肥満の「ネバーエンディング・ストーリー」を阻止するためには、冬デブの回避こそが欠かせないのだ。そこで福田先生が、年末年始にありがちな “冬デブ”シーンを正しく乗り越える方法を教えてくれた。
■体を温めるスパイスや薬味で「蓄えモード」をコントロール
「冬に脂質や糖質が欲しくなるのは、熱を蓄えなければという本能によるものですが、スパイスや薬味などで上手に体を温めれば、そうした欲求も抑えられるはず。ちなみに、しょうがの温め効果はよく知られていますが、それは加熱した場合に限られます」(福田先生・以下同)
■長引きそうな忘・新年会はあらかじめ回避する
「お酒の飲みすぎは、それ自体がカロリーや糖質の過剰摂取になるうえに、おつまみの量も増えてしまいます。まったく出席しないのも非現実的ですので、あらかじめ“1次会まで”など、時間を決めて参加しては。悪酔いもせず、楽しい時間が過ごせるでしょう」
■やみくもな食事制限はリバウンドのもと!
「たとえば冬に甘いものをたくさん食べる人が極端な糖質オフをすると、かわりに脂身を大量に取ってしまう、なんてことも。お誘いごとも多い季節なので、無理なダイエットはストレスがたまりやすく、反動でドカ食いするリスクも上がります」
何事もほどほどに。
■「具体的な理由」を根拠にダイエット中と宣言!
季節限定のスイーツイベントなど誘惑全般が多い季節を乗り切るためには、周囲への宣言も必要。
「ただし、『痩せたい』だけだと『まだ平気だよ~』と返されることも(笑)。『着る服がなくなっちゃった』など、具体的な理由を伝えれば周囲の協力も得やすいでしょう」
■正しい入浴は冬デブ回避+睡眠の質アップにも効果アリ!
人は体が冷えていると、温かくとろみのあるものや、こってりしたもの、甘いものを食べたくなりがち。いずれも、体温維持に備えてエネルギーを蓄えようとしているためだが、結果、糖質や脂質の取りすぎとなる。これが“冷え太り”の正体だ。
「寒い冬の入浴をシャワーで済ますのは、冷えを加速してしまうもと。寝る60~90分前に湯船でしっかり温まると入眠しやすくなりますので、睡眠の質も上がりますよ。冷えと密接に関連する末梢血管を広げるために、炭酸系入浴剤を使うのもおススメです」
これらを意識して、今年こそ冬デブを回避しよう!