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「水は体にいいと信じて、毎日積極的に飲んでいませんか? しかし、水分のとりすぎは健康を増進させるどころか、体じゅうに不調を起こす危険な習慣なんです」

 

こう話すのは、中医学の専門家である今中健二先生。中医学とは、2400年の臨床研究に基づいた中国の伝統医学のことで、日本でも漢方薬や鍼灸治療などで取り入れられている。今中先生は本場の中国で中医師免許を取得後、これまで4,000人以上を診断してきた。

 

「日本人は、およそ8割の人に水分のとりすぎ傾向が見られます。『1日2リットルの水を飲むと健康にいい』とはよく聞く話ですが、じつは、これには科学的な根拠はありません。うのみにして実践すると、頭痛や倦怠感などの不定愁訴に始まり、子宮筋腫、がんなど重篤な病気を招きます」(今中先生・以下同)

 

水の飲みすぎがなぜ、全身の不調を起こすのか。今中先生は、胃のむくみがその原因と指摘する。

 

「胃に大量の水が入ってくると、胃酸が薄まって消化機能が落ち、水びたしの状態になります。これが胃のむくみの始まりです。胃は停滞した食べ物を消化しようと、ますます活発に胃酸を分泌。結果、オーバーヒートを起こします。この状態で胃を放置すると、胃にたまった水分が体内に広がり、不調の原因になるのです」

 

水分がそのまま下がると、子宮筋腫や足のむくみなど下半身の不調に。水分が熱を帯びた胃の中で水蒸気となると、倦怠感や顔のむくみなど上半身の不調となる。

 

「中医学では、体の中に12本のエネルギーの通り道があると考え、これを経絡と呼んでいます。胃にたまった水分は、胃が属する経絡を通って移動し、体じゅうに影響を与えるのです」

 

ツルツル流れる鼻水がつらい花粉症も、胃のむくみが関係しているそう。

 

「花粉症の鼻水は、花粉へのアレルギー反応がきっかけで体内にたまった水があふれたもの。体内の水分量が適正であれば、症状は軽減されます。中国は大気汚染が深刻ですが、日本ほどアレルギーの人は見られません。それは大量の水を飲む習慣がなく、子どものころからよく汗をかく生活をしていることが理由のひとつと考えられます」

 

胃のむくみを予防するには水分を外に排出したり、吸収してくれる食材をとるのも体内の水を減らすのに有効。その代表がコーヒー豆だ。

 

「体内組織の水をしみ出させる働きがあるので、1日1杯のブラックコーヒーが胃のむくみ解消に役立ちます。そのほか大根おろし、黒豆や枝豆などの色つき豆、かぼちゃなどウリ系の野菜には水を出しやすくする働きが、焼きなすやさつまいもには水分を吸収する働きがあるので、積極的に食事に取り入れて」

 

「体のためにたくさん水を飲もう」――健康常識として妄信してきた人も多いのでは?  不調の原因になっていることも多いという、その1杯を見直してみませんか。

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