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「急死した親が残した家具があまりにも多くて困りました。最終的に、業者に頼んだら遺品整理に100万円近くかかって。“使わないもの”は、もうちょっと断捨離しておいてほしかった」(35・主婦)

 

「父が死んで、残された認知症の母は待ったなしで介護付き高齢者施設に入居しなければなりません。でも、父の財産をまったく把握していなかった。それですぐには資産計画が立たず、入居先の候補すら挙げられなくて」(45・会社員)

 

夫や自分の死後、子どもたちを不幸にするような金銭的な負担、仕事も手に付かなくなるほどの苦労をかけたくないという人は多い。行政書士で葬祭カウンセラーの勝桂子さんも「50歳を過ぎれば死後の準備を始めるべき」と語る。

 

「『終活なんてまだ早い、お金もかかるし面倒くさい』と思っている人もいるかもしれませんが、複雑に考えることはありません。できることから少しずつ始めましょう。それが誰にも迷惑をかけない“スマート老後”の第一歩となるのです」(勝さん)

 

そこで事前にやるべきことを、勝さん、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに聞いた。

 

■「財産」口座を整理しておけば、相続のときに混乱しない

 

「昭和生まれで、バブルを経験した世代は、物が多い傾向が。一戸建ての場合、遺品整理業者に依頼すると、50万~100万円の費用がかかることもあります。残された子どもには、金銭的な面だけでなく、親の思い出の品を廃棄するという心の負担もかかるので、元気なうちから、自分で買ったものは自分で処分すること。粗大ゴミであれば1つ数百円程度で出せます。大きな家具も、リサイクルショップやネットオークションなどで少しずつ処分していけば、かなり“将来の出費”が抑えられるはず」(勝さん)

 

無駄な口座・貸金庫、年会費が必要なクレジットカードなどは当然、整理対象だ。

 

「夫の転勤ごとに銀行口座を作った人、貯蓄用や引き落とし用など目的ごとに口座を使い分けていた人は、年齢を考えながら少しずつスリム化してみましょう。通帳は1~2冊で十分といえます。ただし金融機関の破綻を想定するなら、保護される1,000万円を超えた預金は、分散させる必要があります」(風呂内さん・以下同)

 

不要なものは、通帳やカードの明細を洗い出す作業から。

 

「まず、1年分の通帳引き落とし、クレジットカードの利用明細を見てスリム化しましょう。まったく利用していないスポーツジムの会費、年に1~2回しか利用しないカードなどがあるのでは?」

 

毎月の固定費として金額が大きいのは生命保険。生命保険文化センターの「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、1世帯(2人以上)当たりの年間保険料は約38万円にも。

 

「子どもが幼いうちは多額の死亡保険をかけていたという人も、子どもが独立し、住宅ローンも完済間近という状況であれば、優先順位は下がるでしょう」

 

公的医療保険が充実している今、医療保険の解約も検討したい。

 

「ただし、高齢になればなるほど、病気のリスクは高まります。安い保険料で更新できる人は慎重に」

 

確定拠出年金や投資口座も、見直すべき時期がある。

 

「価格変動が激しい株や投資信託商品は、運用期間にゆとりがあるほど冷静な判断ができます。老後資金の見通しもついて、資産を増やすより“減らしたくない”という時期に来ていれば、価格変動の少ない債券や定期預金に徐々にシフトすることも考えましょう」

 

将来、子どもたちが払うことになる「相続税」については、生前贈与という節税方法がある。

 

「1人当たり年間110万円までの贈与なら非課税。ただし被相続人が亡くなる前3年以内の贈与は課税対象になるので注意しましょう。孫や子どもの結婚資金や教育費1,500万円などを一括生前贈与する方法もあります。税務署の無料相談などを利用してみてください」

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