「お金が増えない……」が口癖の人は、お金のことをどう捉えていますか? 悩める人たちの意識を変えるため新たな提言をしてくれました!
「人はお金を持っていると周りから『信頼』を得ることができます。人はお金を持っていると同じ『価値』のモノを買うことができます。そして人はお金に『想い』を乗せることができます。『信頼』『価値』『想い』、この3つの力が合わさってお金は動いている、と考えると、うまくお金が使えるようになると思います」
そう語るのは、インターネット専業の証券会社の草分けともいえる存在であるマネックスグループ代表執行役社長・松本大さん(55)。同社は創業20周年を迎え、松本さん自身、外資系証券会社をはじめ金融の世界に30年以上身を置き、巨額のお金を動かし続けてきた。そんな松本さんが、4月12日に『お金の正体』(宝島社)を出版した。
「お金の正体とは、この“3つの力”のこと。たとえば住宅ローンを組むときに、預金残高が多ければ低い金利で融資を受けられるとこがあります。これは『信頼』によるもの。発展途上国に学校をつくろうとする人が、大勢の人から寄付を受けると、『これだけの人が支援してくれた』と、実現に向けてさらに力が入るようになる。それは、集められたお金に多くの人の『想い』がこもっているからです」
信頼、価値、想いの3つをベースに、“お金のプロ”である松本さんが、お金を増やし、うまく使うための“自分ルール”を教えてくれた。
■使い方は1人で決める
「自分が時間を費やし苦労して働いて得たお金は、自分が得た信頼そのもの。『なんとなく』『○○がいいといったから』と、他人にすすめられたものにお金をつぎこむのは、消費でも投資でも、幸せな結果を招くことはありません。お金を使うにも、『食べたい』『ほしい』ものに納得して使っているかが大切です。自分の意思ではない、自分の想いが向かわない買い物をカットすることが、本当の意味での“節約”だと私は思っています」
■使い方を押し付けない
「たとえば習い事や塾など、“子どものため”といいながらお金をかけた思い出はありませんか?『お金をかけているんだから、しっかり○○しなさい』と子どもに言うのは、結局自分の意思を押し付けていることと同じなんです。子どもがやりたい方向で使ったほうがいいですし、使い方を他人に押し付けるものではありません」
■“自分が参加したい”と思える場所にお金を使う
「代表的な例でいえば、寄付がそれにあたりますね。寄付は、その場所に、自分の分身をちょっとだけ働きに行かせる、ということだと思います。自分がその場所へ直接行くことはできないし、時間もなくてできないけれど、誰かの役に立ちたい。そのために使ったお金は循環して、自分のもとによりよい形で戻ってくるはずですから、まずはそんな想いを持てるような場所やプロジェクトに寄付してみましょう」
お金の使い方について、松本さんはこう続ける。
「老後を前にして、自分たちのお金を取り巻く状況はつねに変化していきます。それでもお金について回る『信頼』『価値』『想い』を常に考えながら、自分の幸福や満足のためにお金を使えば、豊かな人生を送ることができるはずです」