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「私は30年間、認知症専門医として患者さんを診察しているなかで、“心地よさ”こそ、脳を活性化して若返らせるポイントだと気づきました。そこで、私が勧めたいのが、歯磨きと併せて行う『ぶくぶくオイルうがい』こと、オイルプリングです。少量のオイルを口に含み、10分ほどぶくぶくとすると、爽快感があり、心地よいと感じられ、歯周病予防にもなります」

 

そう教えてくれたのは、毎月1,000人もの認知症患者を診察する脳神経内科・認知症の専門医、長谷川嘉哉先生。

 

長谷川先生は、歯周病が認知症の大きな原因のひとつであり、歯のケアによって、歯周病予防は可能であるという。自著『認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ歯を守りなさい!』(かんき出版)でも取り上げたオイルプリングは、長谷川先生がいちばんオススメしたいスペシャルケアだ。

 

「認知症は記憶力が低下する前に、感情をつかさどる扁桃核という脳の一部が萎縮します。萎縮させないためには、脳を刺激して、心地よくしてあげるのがベスト。多くの患者さんからも心地よいと好評なオイルプリングは、認知症予防にも効果的だと思います」(長谷川先生・以下同)

 

オイルプリングは、インドの伝統医学であるアーユルヴェーダを起源とした、オイルで口をゆすぐ自然療法。現在、確かなエビデンスはないものの、長谷川先生によると、次の5つの一般的な効果が期待できるという。

 

【1】毒素排出

植物性オイルに含まれる細かい分子の脂肪酸が、口腔内の汚れや歯肉の奥に潜む細菌を引っ張り出す。

 

【2】免疫力アップ

それまで口腔内細菌を撃退するために使っていた免疫機能の負担が減る。その結果、ほかの不調をカバーするほうに注力できるようになるため、免疫力が上がる。

 

【3】唾液の分泌量が増加

1日平均1.5リットルは出るはずの唾液。現代人は咀嚼の回数が減り、唾液の分泌量も減少している。唾液は口腔内細菌の増殖を抑える効果があり、オイルプリングにより唾液の分泌量が格段に増える。

 

【4】口臭除去

植物性オイルと唾液が混ざり合うと「乳化」が起こり、口腔内を洗浄。マウスウオッシュより低刺激。植物性オイルは自然由来のため、飲み込んだとしても体への負担もリスクもない。

 

【5】顔のリフトアップ

毎日10〜15分、ぶくぶくと口を動かし続けて顔の筋肉を使うと、リフトアップ効果もある。「ほうれい線が薄くなった」という報告も。

 

「論文がないため、オイルプリングは効果がないという歯科医もいますが、脳に与える刺激という意味で、私は十分効果があると思っています。私が3カ月に1度、歯科医院で口腔内チェックをしてもらうと、『きれいに磨けています』『汚れがきちんと取れています』と褒められます。これも3年間毎日欠かさず、オイルプリングを続けているおかげでしょう」

 

それでは、オイルプリングの具体的なやり方を見ていこう。やるタイミングは夜寝る前か、朝起きたとき。植物性オイルを大さじ3分の1〜3分の2(5〜10ミリリットル)口に含み、10〜20分ぶくぶくとゆすぎ続ける。ガラガラと喉うがいをするのはNG。口腔内にオイルが行き渡るよう、あくまで“ぶくぶく”するのがポイントだ。ゆすぎ終えたら、洗面所などに吐き出すのは×。詰まりの原因にもなるので、ティッシュペーパーやビニール袋に出して捨てるようにしよう。それから歯磨きをすること。

 

推奨される植物性オイルは、ココナツオイル、オリーブオイル、ごま油(ごまを焙煎していない透明なもの)、ひまわり油、亜麻仁油の5種類。ネットでは「オイルプリング」専用のオイルも売られているので、購入して使っても◎。

 

「もちろん朝夜1日2回やってもいいのですが、私が特にオススメしているのは、夜寝る前です。朝起きたときの口の粘つきが、格段に改善されたと実感できます。ぶくぶくしていると唾液がたくさん出るので、オイルを入れすぎないよう注意が必要。時間は、最低でも5分はやったほうがいいですね」

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