「iDeCo(個人型確定拠出年金)の加入条件が緩和される見込みです。これまで勤め先で、「企業型確定拠出年金」に加入している会社員は、原則としてiDeCoへの加入はできませんでした。しかし、全会社員を加入できるようにする改正案が、来年の通常国会にも提出される見込みです。さらに、現行の積立期間は60歳までですが、65歳まで延長されることも確実視されています。現在、50歳を超えている人も、延長で10年以上積み立てられるようになる可能性が高いですから、加入しても遅くはありませんよ」
こう語るのは「年金博士」こと、社会保険労務士の北村庄吾さんだ。iDeCoとは毎月、少額ずつ積み立てた資金を、投資信託商品などで運用する年金だ。掛金は月額で最低5,000円からで、1,000円きざみで選ぶことができるが、上限額は職業などによって異なる。
自営業者は国民年金基金の掛金などとあわせて6万8,000円が上限。公務員や独自で運用している企業年金がある会社に勤める会社員は1万2,000円、企業年金がない会社に勤めている会社員や専業主婦は2万3,000円が上限となっている。
運用期間中の利益は非課税、さらに受け取れるのは原則60歳以降だが、そのときも控除額の範囲内であれば非課税だ。
「“投資=怖い”と考えて敬遠している人も多いはず。しかし、iDeCoは元本割れさえしなければ、放置しておくだけで、“節税メリット”を得られるんです」
それではiDeCoで“得する”ための心得を専門家に聞いていこう。
■分散投資を心がける
iDeCoに詳しいMoney&You取締役の高山一恵さんはこう語る。
「投資信託を選ぶ際、初心者にオススメなのは、国内株式・債券、外国株式・債券、国内外の不動産投資信託など、さまざまな投資対象にバランスよく分散して運用されている商品です」
投資対象が分散しているほど、急激な価格の下落は起きにくい。
「私はSBI証券のバランスファンドなどを組み合わせて、相場が落ち込んでいる今でも、9%ほどの運用利回りを確保しています。この5年間だけでも、約340万円の積立額に対し、30万円ほどの利益が出ていますね」
通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかるが、iDeCoなので、もちろん非課税だ。
■要注意ワードを知る
もちろん、リスクの高い上級者向けの投資信託もある。こうした商品はキーワードから判別できる。
「トルコやインドなどの《新興国》、《通貨選択型》などのワードは、初心者は注意。また、IT、介護、女性活躍など、特定の業界に向けた投資を行う《テーマ型ファンド》なども、流行が終わると運用成績が下がりやすいので、初心者は手を出さないほうが無難です」
■長期運用でプラスに
iDeCoは、投資信託商品の配分さえ決めてしまえば、あとは金融機関が運用してくれるため、基本的に、ほったらかしでOK。大切なのは、日々の株価に一喜一憂しないこと。
「過去の運用成績を見ると、7年ほどバランスよく分散投資して運用すると、運用益はプラスになる傾向があります。仮に受給開始を迎える60歳(加入期間が10年未満の場合は、段階的に61〜65歳)のときに相場が悪くても、70歳まではお金を引き出さずに運用を続けられます。相場がいいタイミングで、引き出すことができるんです」(高山さん)
“置いておく”だけで得するiDeCo。ぜひ、加入を検討してみよう!