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「慢性的な寝不足に悩む女性は多いですが、これこそ、認知症の最大のリスク要因なのです」

 

そう警鐘を鳴らすのは、加藤プラチナクリニックの加藤俊徳院長。厚生労働省によると、2025年には認知症の患者数が700万人を超えて、65歳以上のじつに5人に1人が認知症になると推計されているが、加藤院長はその数はもっと増えると予測する。

 

「睡眠には、脳内の老廃物の掃除と、記憶を定着させる、という2つの重要な役割があります。アルツハイマー型認知症は、脳内にアミノ酸からなるペプチドの『アミロイドβ』などがたまり。神経細胞が死滅していくことで発症するとされています。このアミロイドβは睡眠時間と睡眠の質によって量が変わってくることが近年の研究でわかってきました」

 

アメリカのジョンズホプキンス大学の調査では、平均76歳の高齢者の脳内を脳画像検査で調べたところ、睡眠時間6時間以下のグループが最もアミロイドβの沈着量が多く、7時間より睡眠が長いグループは少なかった。

 

また、ワシントン大学・ジュ教授の研究でも、寝床で横になっている時間に対する実際の睡眠時間の割合を示す「睡眠効率」がよいほどアミロイドβの値が低いこと示されている。

 

「20歳以上で、睡眠時間が6時間未満の人が認知症を発症すると仮定すると、国民の3人に1人が認知症という大変な時代が訪れることになります。今からでもけっして遅くはないので、生活習慣を改めて睡眠時間をきちんと確保するように心がけましょう」

 

加藤院長によれば、理想の睡眠時間は7時間。とはいえ、寝ようと思っても寝付けないという人も多い。うまく寝付けない、ぐっすり寝られないといった症状があったら加藤院長が考案した次のリストでチェック。思い当たる項目に「関連する『脳番地』」と「快眠のための対策」も合わせて紹介。これを試して、不眠の原因を絶とう。

 

【1】明日の予定を考えていて、止まらない
【2】「お金が足りなくなりそう」と心配になる
【3】10年前のつらい思い出がよみがえる
【4】他人に嫌われたと思うと、そのことが頭から離れない
【5】「明日、人と会ったらどうしよう」と不安になる
【6】好きではないことに誘われても断れない
【7】テレビで見た怖いシーンが頭から離れない
【8】人と目を合わせるのが苦手
【9】人から言われた嫌みな言葉が頭に残っている
【10】好きな音楽が耳から離れない
【11】車を運転するとき、ブレーキとアクセルを間違えそうになる
【12】駅で人とぶつかりそうになる
【13】部屋の中がグチャグチャだ
【14】人とのトラブルがなかなか解決しない
【15】昔の失敗が気になる
【16】家族や友人とケンカしがち

 

あてはまる項目が……0〜4個:快適な睡眠を継続できている。5〜10個:睡眠障害の危険性が高まっている。11個以上:いますぐ積極的に睡眠法の改善を。

 

【1】【2】
関連する「脳番地」:思考系
快眠のための対策:自分の意見と反対の意見を考える。外を散歩する。

 

【3】【4】
関連する「脳番地」:記憶系
快眠のための対策:なりたい自分の理想の人を見つける。来週の予定を考えてシミュレーションする。

 

【5】【6】
関連する「脳番地」:伝達系
快眠のための対策:団体スポーツをする。音読する。

 

【7】【8】
関連する「脳番地」:視覚系
快眠のための対策:写真を撮る。通勤・通学の道を変える。

 

【9】【10】
関連する「脳番地」:聴覚系
快眠のための対策:交響曲・楽器の演奏を聴く。聞き上手になる努力をする。

 

【11】【12】
関連する「脳番地」:運動系
快眠のための対策:利き手と反対の手でじゃんけんをする。足の指でじゃんけんをする。

 

【13】【14】
関連する「脳番地」:理解系
快眠のための対策:部屋の整理整頓や模様替えをする。おしゃれをする。

 

【15】【16】
関連する「脳番地」:感情系
快眠のための対策:ペットをかわいがる、植物に話しかける。ドラマや映画を見て涙を流す。

 

「脳には1,000億個以上の神経細胞があり、部位ごとにさまざまな機能を分担しています。私はこれを“脳番地”と名付けて8つに大別しました。たとえば、『明日の予定をあれこれ考えているうちに寝る時間が過ぎてしまう』「今月お金が足りなくなりそう」とあれこれ考えこんでしまう人は『思考系』の脳番地が疲弊しシャープに働いていない証拠。外を散歩して気分転換したり、今の自分の意見とは反対の意見を考えて思い込みを減らす工夫をすると、眠れるようになります」

 

思考系のほかにも女性に多い脳番地の疲れには、昔の失敗を思い出して眠れなくなるなどの「感情系」があるという。

 

「これまでの研究で、右脳の感情系は他人の気持ちを受け取る働きに、左脳の感情系は自分の気持ちを生成することにそれぞれ関係していると考えられます。この脳番地に生じる『快適』『不快』といった感情が人の行動を決めていて、『不快』と感じると眠れなくなってしまいます。なるべくポジティブな感情で脳番地を刺激しましょう。また、共感をして涙を流すことは、副交感神経を優位にする効果があり、気分をすっきりさせます。こうして各脳番地のストレスを取り除いていくと、不眠から解放されていきますよ」

 

「女性自身」2020年2月4日号 掲載

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