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「新型コロナウイルスが世界中を震撼させていますが、これからの季節、気をつけたいウイルスはほかにもあります。その代表例が『水痘ウイルス』です」

 

皮膚科医で、まりこの皮フ科院長の本田まりこ先生はそう警鐘を鳴らす。水痘ウイルスは、幼少時に水ぼうそうにかかっている人の体内にずっと潜んでいるもの。それが大人になってから「帯状疱疹」という形で発症することがある。

 

「体の一部に、最初にピリピリした痛みやひきつりのような違和感があり、日を追うごとに痛みの程度が強くなります。痛みが出始めたときは虫刺されのようなポツポツとした赤い点が、数日で水膨れになり、放置していると水疱がみるみる大きくなる。これが帯状疱疹の典型的な症状です」(本田先生・以下同)

 

子どものころのウイルスが、なぜ今になって悪さをするのだろう。

 

「通常は、私たちの免疫力が感覚神経の根元の神経節の中で、潜んでいる水痘ウイルスを抑え込んでいます。しかし、免疫力が低下するとウイルスが活性化し、神経を攻撃しながら皮膚の表面に水疱を作ります。神経系の痛みを感じるのも、ウイルスが神経を伝って活動するからなのです」

 

このように、帯状疱疹が発症する最大の要因は“免疫力の低下”によるもの。すなわち、免疫力を下げてしまう不規則な生活、ストレスの多い生活環境などがリスク要因となる。

 

【帯状疱疹リスクが高まる生活環境】あてはまるほど要注意!

 

□ 50歳以上の女性である
□ 水疱ワクチンを接種していない
□ 疲労がたまりがちだ
□ 精神的ストレスを感じる
□ 睡眠が不足気味だ
□ 糖尿病、関節リウマチがある
□ 免疫抑制剤を使用している
□ アレルギー(アトピー性皮膚炎、花粉症、ぜんそくなど)がある
□ 生活リズムが不規則である

 

さらに、帯状疱疹は暖かい季節に増加傾向があることも気をつけるべき点だという。

 

「インフルエンザが流行したりすることから、免疫力は冬場に低下すると思われがちですが、1年のうちもっとも免疫力が低いのはじつは夏。秋から冬にかけては体が冬の寒さに備えて栄養を蓄えようとするいっぽう、そのエネルギーを放出して生活する暖かい季節は、免疫力が下がってしまうのです」

 

さらに、帯状疱疹で意外に知られていないことも。

 

「水痘ウイルスは空気感染をします。水ぼうそうにかかったことのない人が、帯状疱疹の人からウイルスをうつされると、水ぼうそうを発症します。ですから、発症後4日間程度は、病院以外への外出を控えるようにしてください」

 

治療には、抗ウイルス薬や鎮痛薬などが使われる。重症の場合は点滴を投与することもある。通常、帯状疱疹の痛みは2〜3週間程度で治まるが、予後が悪いと合併症が現れたり、帯状疱疹後神経痛が3カ月以上続くことも。

 

合併症は帯状疱疹が現れた部位によっても異なるが、顔面神経まひ、難聴、虹彩炎(視力低下)、運動神経まひ、尿閉、皮膚細菌感染などが挙げられる。重症化すると数カ月後も痛みが続き、生活に支障をきたしたり、ブロック注射などの治療が必要になる場合もある。

 

帯状疱疹の予防法は、主にワクチン接種と免疫力を上げる生活習慣を心がけることの2つ。

 

「’14年から、50歳以上の人を対象に、帯状疱疹予防のための『水痘ワクチン』が日本でも使用できるようになりました。予防目的のため自費でありますが、1万円前後で接種できます」

 

そして、免疫力を上げる生活習慣も心がけたい。

 

「十分な栄養、睡眠時間の確保、ストレスをためない、生活リズムを整えるなど、基本的なことですが、生活習慣を見直すことでできることもありますね」

 

新型コロナウイルスへの警戒態勢が続くなか、暖かくなるこれからの季節、読者世代は免疫力を高めることをいっそう心がけていこう。

 

「女性自身」2020年4月21日号 掲載

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