新型コロナウイルスへの不安が消えないなか、公共交通機関を避け、移動にマイカーを使う人も多い。そうなると、心配なのが事故。特に高齢者の運転だ。
’19年4月、東京都池袋で高齢ドライバーが11人を死傷させた事故は記憶に新しい。そうした事故に衝撃を受け、免許を自主返納する人が増えた。’19年の免許返納は、前年より42.7%増の約60万件で、過去最多だ(’20年3月・警察庁)。
とはいえ、車が生活の足という地域も多く、一概に「○歳過ぎたら返納」とは言えない事情も。
そこで、自動車メーカーはより安全な車の製造・販売に注力している。国もこれを後押しし、65歳以上の運転者に「サポカー補助金」を創設した。今年3月から受付が始まっている「サポカー補助金」とはどんな制度なのか。経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説してくれたーー。
■命を守る「サポカー」でお得に安心安全を
サポカーとはセーフティ・サポートカーの略で、安全運転をサポートし事故軽減を目指す車です。サポカー補助金は、こうしたサポカーへの買い換えを促す購入補助と、安全性を高める装置の後付け補助の2本柱になっています。
実はサポカーには、サポカーとサポカーSという2種類があり、それぞれに購入補助を行います。
補助対象となるサポカーは、歩行者を検知し、衝突しそうなときに警告音などを鳴らし、それでもブレーキ操作がないときに自動でブレーキをかける「衝突被害軽減ブレーキ」がついた車です。「自動ブレーキ」ともいわれます。
サポカーSは、衝突被害軽減ブレーキとともに、アクセルとブレーキを踏み間違えても急加速しないようにする「ペダル踏み間違い急発進抑制装置」もついた車です。
補助金は、65歳以上の方がこうした機能がついた車を購入したときに出ます。その額は、サポカーSの場合は新車の普通車に10万円、軽自動車に7万円、中古車には4万円。サポカーの場合は新車の普通車に6万円、軽自動車に3万円、中古車には2万円です。該当する車種や購入時期、年齢など、詳しくは販売店にお問い合わせを。
すでに、衝突被害軽減ブレーキは新車の約78%に、ベダル踏み間違い急発進抑制装置は約65%に搭載されています(’17年・日本自動車工業会)。また国は、衝突被害軽減ブレーキ搭載の義務化を、’21年11月以降の新車から段階的に進める方針です。近い将来、全面義務化になるでしょう。
買い換えを検討中なら、補助金が使えるうちがお得では。補助金は今年度から約2年間の予定です。
サポカー補助金の第2の柱は、ペダル踏み間違い急発進抑制装置の後付けに補助金が出ることです。お持ちの車に、工賃込みで6万円前後から取り付け可能なものもあり、最大4万円の補助金が出ます。買い換えと比べるとハードルが低いので、親御さんにプレゼントしてもいいと思います。
コロナ禍が落ち着いたらドライブがしたいと思う方も、多いでしょう。今のうちに、マイカーの安全性について考えてみませんか。
「女性自身」2020年6月23・30日合併号 掲載