密を避けてお参りしよう(写真:アフロ) 画像を見る

新年を迎える喜びやイベントとして、毎年大混雑する初詣で。お正月の家族行事として楽しみにしている人も多いが、有名な神社仏閣には人が押し寄せ、“3密状態”に……。コロナ禍で迎える年末年始、オススメなのは初詣でに先んじてお参りする「師走詣で」だ。京都を中心に年間100件以上の神社ツアーでガイドをしている神社探究家の浜田浩太郎さんに、「師走詣で」について教えてもらった。

 

■そもそも「師走詣で」とはどういうものですか?

 

「師走詣で」は別名「年末詣で」、「お礼参り」とも言われ、12月中に今年1年無事に過ごせた感謝を、神仏にお伝えする参拝のことです。古来より日本で行われていた「年籠り(としごもり)」という行事に由来しています。

 

■年籠りとは?

 

年籠りは大晦日の夜から元日の朝に家長が氏神様の元へ籠もり、今年1年の感謝と新年の無病息災を祈る行事でした。この年籠りが師走詣でと初詣でに別れたのですが、「師走詣で」は今年1年の感謝に重きが置かれています。

 

■どういった御利益があるのでしょうか?

 

昨今ではパワースポットやスピリチュアルのブームなどで、参拝の趣旨がだいぶ変わってきてしまったのですが、本来いちばんの御利益は、無病息災であるということ。飢饉や天変地異、戦など、命の大切さを身にしみてわかっていた我々の祖先たちは、1年無事に生きられたこと自体を感謝し、新たに迎える年も変わらず無事に生きられるよう祈っていました。神社仏閣への参拝で金運や恋愛運など開運について願う人も多いかもしれませんが、それは人間の欲望になるため、神道本来の考え方とは違います。コロナ禍で大変な1年になりましたが、周囲の人と力を合わせて今年を乗り切ってこられたことを感謝し、また無病息災を祈りましょう。

 

■「初詣で」をせずに、「師走詣で」だけでもいいのですか?

 

もちろん問題ありません。師走詣でだけでも、初詣でだけでも、両方行ってもいいでしょう。今年はコロナの影響で参拝の密集を分散させるため、12月から新年の破魔矢やお札やお守り、干支の縁起物などを授与する寺社仏閣もあります。初詣と比べて、人が少なく空いている中でゆっくりと参拝することができるという点でも、「師走詣で」はおすすめですよ。

 

■いつ行くのがベストタイミングでしょうか?

 

暦法上、1年間の干支が切り替わる冬至の日(今年は12月21日)あたりから大晦日がいいですね。冬至は新しいことを始めるのにも最適な日なので、神社なら近所の氏神神社やふだんから崇敬している崇敬神社に「師走詣で」に行きましょう。

 

3密を避ける参拝方式を、ぜひ取り入れてみては。

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