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「新型コロナウイルスの感染拡大による在宅時間の増加に伴い、スマホやパソコンを使用する機会も増えた結果、首、肩こり、腰痛を訴える人が増えました。こうした人たちに共通しているのは“腕が短くなっている”ことなのです」

 

アスリートゴリラ鍼灸接骨院の院長・高林孝光さんはこう話す。スマホやパソコンの画面を見ているとき、私たちはどうしても前かがみで上半身の動きはほぼ固まったままの体勢になりがちだ。

 

「長時間同じ姿勢でいると、そのぶん筋肉を酷使し続けることになり、筋肉は緊張し、縮こまってしまいます。そうすると猫背になりますし、血流も滞るため、痛みやコリのほか、冷え、肌荒れ、うつ傾向などさまざまな症状を招くことになります」(高林さん・以下同)

 

さらに、冬場は寒さも影響して筋肉がこわばりやすい。体が凝り固まると、痛みなどのほかに集中力が持続しづらくなったり、怒りっぽくなったりすることもあるという。そうした症状を訴える患者の治療にあたると、前述の“腕の短さ”が確認できることが多いと高林さんは話す。

 

こうした現代人の“クセ”を解消し、痛みやコリを改善するため、テニス選手の動作をヒントに高林さんが考案したエクササイズが次の「7秒腕回し」だ。腕を前に7回、後ろに7回回すだけ。これを左右行って1セット。

 

■7秒腕回し

 

【1】肩幅でまっすぐバンザイ

(1)鏡の前で両足を腰幅に開いてまっすぐ立つ。
(2)バンザイをするように両腕をまっすぐ上げる。
(3)背すじを伸ばし、手のひらを正面に向け指先を伸ばす。

 

【2】反対側の手で脇の下を押さえる

(1)片方の腕をまっすぐ上げ、手のひらを内側へ向ける。
(2)反対側の手で脇の下を押さえる。
(3)指先は伸ばす。

 

【3】1秒に1回のペースで前回しを7回

(1)手のひらを内側へ向けたまま、1秒に1回のペースで前回しに腕を7回回す。

 

【4】後ろ回しを7回

(1)後ろ回しに腕を7回回す。

 

【5】腕が伸びたのを実感

(1)【1】と同じように両腕を上に伸ばし、左右の手の長さを確認する。

 

■腕を上げづらい人はこちらでもOK

 

【1】小さい「前へならえ」をする

(1)両足を肩幅に開き、背すじを伸ばして立つ。
(2)小さい「前へならえ」をして、前腕を床と並行に伸ばす。
(3)手のひらは内側に向け、脇を締め、ひじは体につける。

 

【2】肩甲骨を開いてさらに伸ばす

(1)指先を前へ伸ばすように。
(2)両肩の肩甲骨を開くイメージで手をさらに伸ばす。
(3)呼吸をしながら7秒キープ。これを3セット行う。

 

記者が「7秒腕回し」を実践してみたところ、鏡で見て明らかにわかるほど、回したほうの腕が長くなっているのを確認できた。そして肩のこわばりも改善した印象を受けた。なぜ、腕を回すだけで肩こりが改善するのだろうか。

 

「腕を回すときに最も使う筋肉は表層筋(アウターマッスル)である広背筋や僧帽筋です。僧帽筋は首から肩にかけて、広背筋は腰から肩にかけて、共に広範囲に付いている筋肉。一般的にマッサージや整体で押したりもんだりするのがこの表層筋です。いっぽう、表層筋のさらに下にある深層筋(インナーマッスル)には直接触れることができません。しかし、腰痛には腸腰筋や腹横筋など、首や肩のコリには肩甲挙筋、肩甲下筋などのインナーマッスルが関係しています。インナーマッスルをほぐすには、表層筋である広背筋や僧帽筋を動かします。それによってインナーマッスルに刺激を伝えることができるのです」

 

これを、7秒腕回しによって効率よく行うことができる。そうすると筋肉が緩み、自然と猫背が改善され、腕が長くなる。肩回りの可動域も広がり、肺にたくさん空気が入るようになって、自律神経も整い、眼精疲労も和らぐ。

 

四十肩・五十肩などで腕を回すのが困難な人は、両腕を「前へならえ」の形にして7秒伸ばすだけでも効果が得られるそうだ。

 

「腕を前方へ伸ばすと、肩甲下筋という肩甲骨の奥にあるインナーマッスルが刺激され、肩回りの筋肉を緩めることができます。腕回しは、無理のない範囲で毎日続けることがなにより大切です。1日1セットでも十分です」

 

「女性自身」2021年1月19日・26日合併号 掲載

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