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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、給付金や医療費など、例年に増して判断が難しい項目が多い今年の確定申告。うっかりしていて損をすることのないように、注意点をきちんとおさえておこうーー。

 

今年も近づいてきた確定申告のシーズン。今回は改正に加えて新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり異例ずくめ。税理士で、ファイナンシャルプランナーの備順子さんは次のように注意を促す。

 

「年末調整があるため会社員は通常は申告の必要がないのですが、寄付をした人、手術や入院で医療費がかかった人、住宅ローンを組んで家を購入した人などは、確定申告をすると払いすぎた税金が戻ってくることがあります。’20年はコロナの影響で、給付金や手当を受け取ったケースも多く、どう申告したらいいのか? といった相談をよく受けます。申告しなくてもいい給付金、申告をしなければならない給付金があるので、確認する必要があります」

 

通常の確定申告の提出期間は2月16日から3月15日まで。会社員などが還付のための申告をする場合は、1月1日以降5年間は申告が受け付けられる。コロナ禍で行われる確定申告のポイントを備さんに教えてもらった。

 

■PCR検査費用は医療費控除の対象外

 

入院や手術、歯の治療をした年は、家族の分を含めて確定申告をすると、原則10万円を超えた分について所得から差し引くことができる。しかし、医療費控除の対象になるのか判断が難しいものも。

 

「民間の検査機関でPCR検査を受けた場合、自費で支払った検査費用は医療費控除の対象外です。ただし、検査の結果、陽性と判定され病院で治療を受けた場合は、医療費控除の対象に。医師の判断で受けたPCR検査代は公費扱いなので、患者の自己負担は発生しません。医療費控除に計上できる費用は治療に結びつくかどうかがポイントです。人間ドックや健康診断は、病気が見つかり治療する場合には検査費用が医療費控除の対象になりますが、基本的には健康維持のための支出なので控除の対象外です」

 

消毒液やマスクをたくさん買ったという人も多いが、すべて「予防のための支出」となるため、医療費控除の対象にはならない。

 

■在宅勤務用のPCは必要経費に含まれない

 

1月15日、政府は新たに「家庭の通信費のうち、在宅勤務をした日数分の半額を経費とみなす(会社からの補助金額は差し引く)」というルールを公表した。自宅作業用の環境作りにかかった費用は経費になるのだろうか?

 

「給与所得から経費の一部を控除する『特定支出控除』という制度があります。経費として認められる項目は、通信費、仕事で必要な研修費や資格取得費、単身赴任の帰宅旅費、仕事で使用する図書、衣服、交際費などです。在宅勤務のための備品は経費としては認められないので、机や椅子、パソコンの購入費は控除の対象外です」

 

経費として認められるには会社の証明書が必要。控除額は「給与所得控除額の2分の1を超えた部分」となる。年収500万円の例では、〈給与所得控除額=500万円×20%+44万円=144万円〉となり、その2分の1にあたる72万円を超えた部分が「特定支出控除」として認められる計算になる。仮に100万円の経費を使ったら、控除されるのは28万円ということになる。

 

支出が多い年であれば検討してみる価値はあるかも。

 

■減収額によっては夫を妻の配偶者特別控除に

 

コロナによる収入減で妻のほうが夫の年収を上回ってしまったという家庭もあるだろう。今まで夫が受けていた「配偶者特別控除」を妻が受けるほうが有利なことも。

 

「年収150万円以下なら控除額は38万円で、150万円を超えると段階的に額が減り、201万6,000円以上でゼロ円となります。たとえば、夫が年の途中で退職して年収150万円以下となってしまい、妻はパートを掛け持ちして収入がそれを上回っていれば、夫を控除の対象にして、妻の所得から38万円の控除が受けられます」

 

例年以上に注意点の多い確定申告。損をすることのないよう、申告書の作成に臨むようにしたい。

 

※記事は1月20日時点の情報に基づいて作成しています。

 

「女性自身」2021年2月9日号 掲載

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