「多額の負債を抱えて『夫には言えない』、と悩む人は少なくありません。出費を言いだせず夫婦の不和を呼び、さらにストレスがたまる、というケースもあります」
そう話すのは離婚経験を生かし、カウンセリング的手法で夫婦問題に向き合う弁護士・原口未緒先生。
「コロナ禍で収入が激減し、やむなく借金をしてしまった人も多いです。借入金が膨らみ、完済のめどが立たない場合、基本的な選択肢は以下のようになります。高い金利を再計算し返済計画を立てる『任意整理』。借金の元金も減らせる『個人再生』。全ての返済義務が免責となる『自己破産』です」
これらの手続きを踏み、免責を受けると一定期間、借金ができないなどの制約もある。
「救済のための法律ですから、悲観しないで。ただ、一時的に借金を清算しても、根本原因は解決しないといけません。第三者に相談すれば道は開けます。一人で抱え込まないでくださいね」
そんな「コロナ禍借金」について、原口先生が実例をもとにアドバイスをしてくれた。
■無断で母のお金で住宅ローンの返済。弟の嫁にバレ、「訴える!」と……
コロナ禍で、住宅ローンの返済が苦しく、夫は鬱っぽく、とても相談できず。そこで1年間ずっと実母の預金からこっそり引き出し支払いに当てていました(毎月15万円+ボーナス払いで200万円くらいに)。コロナが終息するまで甘えてしまおうと思っていたのですが最近、弟夫婦にこのことを気づかれてしまいました。実弟は「仕方ないなあ」と苦笑いなのですが、弟の嫁は堅実で節約家なため、私に対して激怒し「財産権の侵害だ」「訴える」と言っています。実際に訴えられてしまいますか?(56歳・テレアポ・主婦)
【回答】「誠意を持って謝罪を」
親のお世話をしている娘や息子が生活費が足らずに、親の預貯金を借りてしまうケースはあります。そして兄弟姉妹の配偶者が納得できない、と言い立てることもよくあります。まず、お母さまが生きている間は本人が訴えない限り「財産権の侵害」に該当しません。
円満解決方法としては、あなたがお母さんと弟さん夫婦に誠意を持って土下座でもして謝罪すること。義理の妹さんは堅実で節約家とのこと。そうすると、あなたのことがまるで理解できないのです。
そこで解決案として(1)お母さんにもう少し預貯金があるならお母さんに頼んで同額を義理の妹さんに渡す、(2)お互い理解し合うため義理の妹さんに「やりくり方法を教えて」などと友好的な間柄になったほうが温情も生まれ、相続のもめ事を回避できます。
住宅ローンですが思い切って家を手放すことも検討の余地があると思いますが、それはつらいでしょうか? または返済が苦しいのであれば、金融機関に交渉して、ローンの返済期間を延ばして返済額を少なくする道も模索してください。
さらに余力があるならパートの仕事を増やすなど今後は自力で返済する道を検討しましょう。(原口先生)
「女性自身」2021年4月6日号 掲載