いまや“おじさんの病気”ではなく、女性にも多い疾患となった水虫。温度・湿度が上昇し、外出機会も増えていくこれからの季節は忍び寄るリスクに厳重な警戒が不可欠だーー。
「3月下旬に『まん延防止等重点措置』が解除されてから、再び水虫の患者さんが増えてきました。コロナ禍以降、外出による感染リスクを減らすため、症状が出てもなかなか病院に行かず、水虫を悪化させてしまった人もいます」
こう語るのは、水虫治療に詳しい「わかばクリニック」(東京都港区)の廣瀬能華さん。
水虫の推定患者数は全国で2,500万人。なんと5人に1人が感染しているといわれる“国民病”なのだ。水虫は、カビの一種である「白癬菌」が、皮膚の内部に浸透して起きる病気。高温多湿の場所を非常に好み、人が集まる温泉施設の脱衣所などには、必ずと言っていいほど潜んでいるそうだ。
一般的に、“おじさんの病気”のイメージが強いが、じつは女性の患者が急増している。
「患者さんの男女比率は、ほぼ1対1になりました。増加している理由は、スポーツジム、ヨガスタジオ、岩盤浴といった、水虫になる危険性が高い“素足”で過ごす場所に行く女性が増えたからだと考えられます」(廣瀬さん・以下同)
一方で、通気性の悪いパンプスなどを長時間履いて働く女性が増えたことも要因の1つだとか。
そんな水虫の種類は大きく5つに分類される。
〈手白癬〉:手のひらに小水疱ができ皮がむける。片手だけ発症することも。
〈爪白癬〉:爪が白く濁ったり、黄色や黒くなったり、分厚くなったりする。
〈趾間型〉:もっとも多い水虫。指と指の間がグジュグジュして皮がむける。
〈角質増殖型〉:かかとが白くカサカサに。かゆみがないので気がつかない人も。
〈小水疱型〉:小さな水ぶくれができてかゆみを伴う。潰すと悪化することも。
「男女ともに、足の指と指の間にできる『型』が全体の約5割を占めます。高齢者の方に多く見られるのが『爪白癬』。これは季節に関係なく発症します。足の水虫を触るなどして手に感染するのが『手白癬』。手のひらにブツブツができたり皮がむけたりします」
水虫の原因となる白癬菌は、ちょうど暑くなってきたこの時季から梅雨、そして夏にかけて繁殖のピークを迎える。“まん防”が解除され、外出機会が増えたことも感染リスクを高めてしまうことに。そこで廣瀬さんに、外出先で注意すべき危険なスポットを挙げてもらった。