コロナ感染が拡大するにつれ、後遺症を患う人が増えている。家事すらできないほどの倦怠感や、認知症のような記憶障害に悩む人も。それでもコロナは風邪といえますか?
8月3日、新型コロナの1日の感染者数が全国で24万人を超え、過去最多を記録した。
そんななか、日本感染症学会など4学会は8月2日「オミクロン株は多くの場合、“風邪”のようなもの。医療逼迫を避けるため、リスクの低い人は受診を控えるように」と呼びかけ物議を醸している。
本当に、オミクロン株は“風邪のようなもの”なのだろうかーー。
「風邪なんて言われると、本当に憤りを感じます。私はオミクロン株に感染して約4カ月たちますが、いまだにスーパーに買い物にも行けないほど倦怠感が続いています」
そう語るのは、愛知県在住の安田智恵さん(仮名・59)。
安田さんは今年3月末にコロナに罹患。38度を超える高熱や、喉の痛み、強烈な体の痛みなどが1週間ほど続いた。その後、検査で陰性になってからも次のような後遺症で苦しんでいる。
「コロナ罹患中から、後鼻漏といって、常に鼻の奥から喉に鼻水が流れ込む症状に悩まされていました。それがずっと治らず、喉に流れ込む鼻水で窒息しそうになることも。いまだに深く息を吸うことができません」
加えて、めまいや動悸、頭痛などにも悩まされている。安田さんは、コロナで受診した医療機関を再度訪れ、こうした症状を訴えた。
「医師は、『たぶん後遺症でしょう』と。でも治療法はわからない、と。『いつ治るんでしょうか』と尋ねても、『1年続くか、2年続くかわかりません』と言われて……」
安田さんは絶望的な気持ちで医療機関を転々とするも、抗生剤やめまいの薬を処方されるだけで、根本的改善には結びついていない。
さらにつらいのは、改善が見られないまま「次々と新たな症状が増えていく」こと。罹患して2カ月後には脱毛が始まり、洗髪のたびに毛がどっさり抜けた。
そして、なにより安田さんを悩ませているのは“倦怠感”だ。
「経験したことのないだるさが続いて、歩くのもやっと。体力が落ちているせいだと思って、無理して歩こうと思ったんですが、玄関を出て10mくらい歩くともう歩けなくなってしまって……。
スーパーにも行けず、近所のコンビニに車で行くのが精いっぱい。家事をすることもできません。台所に立っているのもきつく、昼は弁当の宅配を頼んで、夜は夫に買ってきてもらっています。お恥ずかしい話、洗い物もできないので、紙コップと紙皿ですませているんです」